ジュニアアスリートのカラダづくりに必要な取り組みとは?
本コラムは、ジュニアアスリートに焦点を当てて、エネルギーや栄養の情報を掲載するコラムです。
森永製菓では、ジュニアプロテインや㏌バージュニアプロテインなど、“ジュニア”※という言葉を表記した商品を販売しています。今回は、ジュニアアスリートのカラダづくりにおいて重要な取り組みについて解説します。
※ジュニアの定義については、ジュニアアスリートがエネルギーをとることの重要性は?(https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=19&category=special)のコラムを参照してください。
「身長を伸ばしたい」、「カラダを大きくしたい」、「強いカラダを作りたい」など、ジュニアアスリートのサポートでは、カラダづくりに関する課題を数多く伺います。カラダづくりには、運動、栄養、休養をバランスよく取り入れることが必要です。さらに、成長期であるジュニアアスリートは、成長に必要な栄養や休養が重要なだけでなく、一人ひとりの成長段階に合わせたアプローチも重要です。そこで今回は、栄養の内容を中心に、運動や休養、成長段階についてもご紹介していきます。
カラダづくりに必要な栄養
カラダづくりには、第一に運動と身体の成長に合わせたエネルギー量を補給することが欠かせません。(エネルギー量の算出は、ジュニアアスリートがエネルギーをとることの重要性は?(https://www.morinaga.co.jp/protein/dietitiancolumns/detail/?id=19&category=special)のコラムを参照してください。)
また、エネルギーを補給する際には、エネルギー産生栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質をバランスよく摂取する必要があります。
日本人の食事摂取基準2020年版では、1~49歳の男女におけるエネルギー産生栄養素バランスを、タンパク質:脂質:炭水化物=13~20:23~30:50~65と定めています。全体のエネルギー量が多くとも少なくとも、基本的にはその割合でとることが推奨されています。そのため、何か一つだけを多くとることは避けて、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物を満遍なく増やすことで、食事のバランスをとるとよいでしょう。
さらに運動量が多く、かつ増量などのカラダづくりを行うジュニアアスリートは、エネルギー必要量が非常に多くなり、3食の食事で補うには胃の許容量を超えるような摂取量になる可能性もあるため、補食の活用が重要です。
おすすめの補食を下記に示します。炭水化物がとれるものを中心に選びつつ、タンパク質も含まれるものを摂取できるのが理想的です。また、ジュニアアスリートの場合は、基本的に脂質を極端に制限する必要はないため、栄養素が豊富な食材で、かつ食べやすいものを選択するとよいでしょう。
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運動と休養
適度に実施する運動は、身体にとって良い影響を与えますが、クラブチームや部活動の掛け持ちなどで、休みなく活動している選手も少なくないと思います。過度な運動によるエネルギー消費量の増加は、その消費量に見合う食事量がとれないか、食事量が非常に多く、身体吸収しきれないことで、慢性的なエネルギー不足を引き起こす可能性があります。慢性的なエネルギー不足は、発育・発達の障害、月経異常、免疫機能の低下、メンタルヘルスへの悪影響、骨の健康の阻害など、様々な問題を引き起こす1)ため、練習量をコントロールできない状態で休みなく活動している場合は、より注意が必要です。
休養のうち、特に重要なことは睡眠です。睡眠中は、成長ホルモンが分泌されることで、身体をリカバリーし、ジュニア世代では発育・発達が促されます。
「健康づくりのための睡眠指針の改訂について(案)2)」において、小学生の睡眠時間は9~12時間、中学・高校生は8~10時間と推奨されています。令和元年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書3)によると、中学生の平均睡眠時間は、男子7時間23分、女子7時間8分でした。このデータからみても、睡眠時間が8時間以下で、睡眠不足である子どもが多いと考えられます。
睡眠時間が短い場合は、日ごろのスケジュールを見直して、なるべく睡眠時間が確保できるように工夫してみましょう。朝練がある場合や移動時間が長く、どうしても時間が確保できない場合は、休み時間に少し仮眠することも一つの方法です。
また、睡眠の質や寝付きを高めたり、リカバリーを促したりするために、入浴も重要です。入浴により上がった体温が下がるタイミングで入眠すると、深い眠りにつきやすくなるので、入浴後2時間程度を目安に就寝できるとよいとされています4)5)。
成長スパート6)
成長スパートは、思春期の第二次性徴の時期のことを指します。身長が急激に伸びる時期であり、ホルモンの分泌が変化することで身体にも様々な変化が起こります。一般的に女性は男性より約2年早く成長スパートが起こるとされていますが、人それぞれスパートの時期が異なり、4~5年の差があるとも言われています。
特に中学生の時期は、この変化が起こる時期と重なるため、同じ学年でも体格に大きな差が出ることがあります。成長スパートの前後で実施すべきトレーニングやその量なども異なるため、個人の成長に合わせたアプローチを行えるとよいでしょう。評価には様々な指標がありますが、簡便にチェックするには、1年間で伸びた身長を毎年記録していくことで、成長スパートを把握することが可能です。
また、成長スパートが起こる時期は、エネルギー補給と睡眠を含めた休養が非常に重要になります。成長曲線も記録しながら、適切に身長の増加と合わせて体重も増加するように、食事量を増やすなどの調整をすることが必要です。もし適齢期になっても成長スパートが見られない場合や、成長曲線に沿っていない場合は、エネルギー不足によって成長が妨げられている可能性も考えられます。
まとめ
今回は、ジュニアアスリートのカラダづくりにおいて重要な取り組みについて解説しました。成長には大きな個人差があるため、その個人差に合わせた対応が重要です。また、過度な運動を行っている場合は、エネルギー不足に陥る可能性もあるため、保護者や監督者がコントロールする必要があります。さらに、十分な睡眠時間を確保することや、1日3食の食事に加えて補食を適宜活用することでエネルギー量を確保し、適切なカラダづくりを行えるように、日々の生活や食事を見直すきっかけとなれば幸いです。
〈引用文献〉
1)
4)快眠と生活習慣
5)アスリートのためのトータルコンディショニングガイドライン, p306~316 ,(2023),独立行政法人日本スポーツ振興センターハイパフォーマンススポーツセンター,東京
参照日:2023年11月14日
〈参考文献〉
厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』 2020年
(文責)
三好友香