腸の環境を整えてからだの健康を保つ“腸活”。健やかな毎日のため、と注目が集まっています。
私たちのおなかの中には数百~千種類、数百兆個以上の細菌がすんでいます。
腸内細菌は互いにバランスを取りながらそれぞれに小さな集合体をつくっており、この様相のことを「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内フローラを構成する菌は、私たちの体に良い影響を及ぼす善玉菌、毒素や身体に悪影響を与えるものを作り出す悪玉菌、それとどちらか強い勢力に味方する日和見菌と、大きく3つに分けられます。
善玉菌には、酵母菌、ビフィズス菌、麹菌や納豆菌などがありますが、乳酸菌もその一つ。乳酸菌もたくさんの種類がありますが、そのほとんどが属する科に“ラクトバシラス科”というものがあります。
自然界に広くみられ、土や水、動物や植物などにも存在しています。ヨーグルトやチーズ、バターなどの発酵食品にもラクトバシラス科に属する乳酸菌が多く使用されています。
乳酸菌をはじめとする善玉菌は、悪玉菌の増殖を抑制したり、体外から浸入してきた病原菌等の敵を阻止して感染を防ぐ働きをしています。その他にも、整腸作用や消化吸収を助けたり、免疫機能を調節したりと、私たちの健康に欠かせない大切な存在です。
善玉菌が多く、腸内細菌のバランスが保たれていることが好ましいですね。
方法
マウスに甘酒主原料の「酒粕+米麹」を2:1で配合した餌を4週間摂取させ、糞便中の腸内細菌叢を測定
試験飼料※各群n=7
・通常食
・通常食+酒粕と米麹の混合物(糖質10%分を置き換え)
測定項目
摂取4週間後の糞便中の腸内細菌叢を、次世代シーケンス解析によって検証
結果
酒粕と米麹の摂取により、ラクトバシラス科の割合が増加しました
今回の研究で、甘酒の主原料である酒粕と米麹を摂取することで、腸内善玉菌のほとんどの乳酸菌が属するラクトバシラス科の割合が増加することがわかりました。
また、これまでの研究で、酒粕と米麹の同時摂取が、腸内のバリア機能を持つムチン量の増加に寄与することも確認されています。
このことから、酒粕と米麹を主原料とする甘酒は、腸内での善玉乳酸菌・乳酸菌の増殖をうながし、腸内環境を良好に改善する可能性を持つことが示唆されました。
参考文献
S. Kawakami et. al., Nutrients. 12(2), pil:E449 (2020)