お肌の大きな悩みの一つである毛穴のたるみ。もともとはキュッと引き締まっていて目立たない毛穴も、加齢や紫外線ダメージなどの影響でお肌のハリが失われてくると、皮膚の弛みや重力に負けて伸びてしまい、涙型にたるんできてしまいます。
毛穴の目立たないハリのある肌はいきいきとした印象を与えますよね。
美容や健康効果に注目の集まる甘酒、森永製菓の今までの研究でも、目の下のクマの改善や皮脂抑制作用などが確認されてきました。今回は、まだ明らかにされていない甘酒のお肌のたるみや弾力に作用するメカニズムを明らかにするため研究を行いました。
試験対象
35~49歳の便秘気味で肌荒れが気になる女性20名
甘酒群と対照群の2グループに10名ずつ分かれて試験
試験飲料
■甘酒群:酒粕と米麹を使用した甘酒
■対照群:酒粕と米麹を含まない甘酒風味飲料
(対象者は自身がどちらの群か知らされません)
方法
両群ともに5週間毎日、1日2回飲用
測定項目
1毛穴たるみ率
2皮膚粘弾性とその変化量
毛穴形状を解析し、直線を1、真円を0としてたるみ率を求めました(同一箇所を3回測定し、平均を採用)。
5週間の飲用試験の後、甘酒群では毛穴のたるみ率の低下がより大きく認められ、毛穴のひきしめ効果が確認されました。
研究1で得られた、酒粕と米麹を使用した甘酒による肌の「引き締め効果」に注目し、細胞レベルでの効果検証とメカニズムの解明を目的に細胞試験を実施しました。
試験サンプル
・酒粕成分
・米麹成分
・混合(酒粕成分+米麹成分)
測定項目
1培養線維芽細胞のコラーゲンゲル収縮促進作用=ハリを維持する効果測定
2培養脂腺細胞のコラーゲン分解酵素の測定=毛穴ひきしめ・たるみ改善効果測定
甘酒成分である試験サンプルをそれぞれ添加した全てにおいて、対照群に比べ有意にコラーゲンゲルの収縮率が増加しました。
これは皮膚弾力の維持、肌のハリを維持する効果に関連しています。
米麹、混合で有意な減少が見られました。
麹成分が作用していることが認められます。
米麹で有意な減少が見られました。
混合でも減少傾向が見られます。(P=0.07)
ここから麹成分が作用していることが認められます。
酒粕と米麹を含む甘酒の継続飲用試験から、毛穴のたるみ変化を抑える効果が認められました。
また、細胞を用いた試験でコラーゲンゲルの収縮、コラーゲン繊維を切断する酵素(MMP-2,MMP-9)の産生低下が確認されました。つまり肌のひきしめ効果や毛穴のたるみ改善効果につながるメカニズムが確認され、ヒト飲用試験の結果を裏付けることができました。
このことから、甘酒の摂取によって、コラーゲンを巡る真皮の構造への働きかけによって肌のハリを維持し、たるみを防ぐ可能性が示唆されました。
参考文献
伊藤真理子、稲垣宏之、西村栄作、橋本萌、森本遥香、矢野正一郎ほか
甘酒摂取が肌へ及ぼす効果の検討-ランドム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-. 薬理と治療 2018;46(11):1841-9
稲垣宏之、伊藤真理子、西村栄作、長谷川結海、前田憲寿
酒粕および米麹熱水抽出物が培養線維芽細胞のコラーゲンゲル収縮,脂腺細胞のMMPsと脂質産生に及ぼす影響.薬理と治療 2018 ;46(12):1985-91