その栄養価の高さから、近年美容や健康効果に注目の集まる甘酒。古来から愛される日本伝統の「発酵」飲料です。
これまでの森永製菓の研究で、甘酒の原料である酒粕と米麹に含まれる成分による腸内環境改善の可能性が示唆されました。
今回は、酒粕と米麹を使用した甘酒の継続的飲用が、便通にどのような効果をもたらすか検証しました。
試験対象
便秘外来に来院している軽度便秘症の女性31名
甘酒群(19名)と対照群(12名)の2グループに分けて試験
試験飲料
■甘酒群:酒粕と米麹を使用した甘酒 190g
■対照群:お湯 190g
方法
両群それぞれ、試験飲料を30日間毎日摂取
記録項目
排便回数、および排便毎の便の量、便の状態、便臭、排便後感覚を記録
※被験食品の摂取開始後最初の3日間を摂取開始期間、被験食品の摂取終了の最後の3日間を摂取完了期間とした
摂取開始期間と摂取完了期間との変化量を群間比較すると、2つの項目とも甘酒群において有意差が認められました。
甘酒飲用群は対照群に対し、摂取完了期間において、普通便(バナナ状、半ねり状)の割合が高く、泥状・水状の柔らかな状態の便の割合が有意に低下していることが認められました。
甘酒飲用群は対照群に対し、摂取完了期間において有意差はないが、便臭が弱まる傾向が認められました。
甘酒飲用群は対照群に対し、摂取完了期間において排便後の感覚の改善が有意に認められました。
酒粕と米麹を使用した甘酒を毎日飲用したグループでは、排便回数、および排便毎の便の量、便の状態、排便後感覚において、お湯を飲用したグループと比べ改善が有意に認められました。酒粕と米麹の両方を原料とした甘酒の継続飲用は、便通を改善する効果が得られることが示唆されました。
参考文献
森貞夫、田仲結子、渡部耕平、山田美希、守田稔、松生恒夫 ほか
酒粕と米麹を使用した甘酒の摂取による便通へ及ぼす効果-ランダム化プラセボ対照並行群間比較試験-.薬理と治療 2019;47:759-65