ビフィズス菌とは乳酸菌の一種で、主に人間や動物の腸内に存在する代表的な善玉菌です。 整腸作用だけではなく、病原菌の感染や腐敗物を生成する菌の増殖を抑える効果があると考えられています。
今回は、甘酒の継続飲用による、腸内の代表的な善玉菌であるビフィズス菌の占有率を調べました。
試験対象
松生クリニック便秘外来来院者で軽度な便秘症の成人女性(40代~60代)
方法
試験対象者を米麹の甘酒群13名、酒粕と米麹の甘酒群12名に分けて、それぞれの甘酒を1日1回30日間飲用した場合と、対照の飲料を30日間続けた場合とを比較しました。(それぞれの飲用期間の間は2週間の休止期間をおきました。)また、解析対象は試験中の離脱や試験食品未摂取を除外した米麹の甘酒群9名、酒粕と米麹の甘酒群8名としました。
試験飲料
■米麹の甘酒群:米麹の甘酒(125ml)
■対照群:米麹をデンプン分解物に置き換えた飲料(125ml)
■酒粕+米麹の甘酒群:酒粕と米麹の甘酒(190g)
■対照群:酒粕と米麹をデンプン分解物に置き換えた飲料(190g)
対照群に比べ酒粕と米麹の甘酒を飲んだグループは、腸内フローラにおけるビフィズス菌の占有率を上げることが確認されました!
※T-RFLPフローラ解析法とは、様々な細菌が混在する検体から、細菌の遺伝子断片(DNA)だけを回収し、PCRで増幅後、特定の遺伝子配列を切断する酵素と遺伝子配列を読み取る装置を用いて、約10種類に分類された細菌が検体の中で、それぞれが占める割合を求める分析法です。
森貞夫ら、Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療).48,1187(2020)
今回の試験により、酒粕と米麹で作った甘酒を継続飲用することで、腸内細菌叢に於けるビフィズス菌の占める割合が増加することが分かりました。
ビフィズス菌のような善玉菌を「摂取して増やす」のではなく「今ある善玉菌の割合を増やす」という、腸内フローラへの働きかけとして今、酒粕+米麹の甘酒に注目が集まっています!
参考文献
森貞夫ら、Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療).48,1187(2020)