感性科学研究センター
センター長付
森永製菓がつくる商品には、
「優しさ」という成分がある。

学生時代は生物に関心を持ち、微生物の培養やシミュレーションの研究をしていた。学問だけでなくスポーツにも熱中し、小学生時代から続けていた野球に情熱を注ぐ。食品業界を目指すきっかけとなったのも、学問やスポーツによって栄養や身体作りを意識した生活を送っていたことだった。inゼリーをはじめとする行動食やプロテインパウダーなど、日常的に親しんでいた商品が森永製菓のブランドだと知り、「お菓子だけでなく、色々なことに携われる」という魅力を感じて入社を決めた。
笑顔を研究する仕事
森永製菓の研究所では、商品の配合や味作りといった開発から、機能性成分の効果測定まで、幅広い研究業務を行っています。中でも、私が所属する感性科学研究センターは、お菓子や食品の情緒的価値を科学的に解明することを目指しており、これまで漠然と「お菓子は人を笑顔にする」と言われてきたものを、脳波や心拍数、表情解析などの生理学的指標を用いて具体的に示すことが主な役割です。例えば、チョコモナカジャンボのモナカをパリパリにすることで、主観的には「覚醒」や「心地よさ」といった感情を期待できますが、それを心拍数や血流の変化という観点から観察することで、生理的・定量的な反応として客観的な根拠を得ることができます。
研究の進め方は案件によって異なり、マーケティング本部からの依頼に応じて証明を行ったり、研究所での新たな評価・解析方法を試験する中で得られた結果をもとにマーケティング本部に共有したりと、様々なパターンがあります。企業での研究において重要なのは、「お客様に価値を届けること」への意識です。学会発表や論文に加え、商品開発への応用やイベントをはじめとする「体験」の提供を通じて、お客様に分かりやすく伝えることを目標としています。

未知の世界は難しくて面白い
仕事の中で最も奥深さを感じるのは、「感性」という分野の曖昧さです。生理学や心理学、それぞれの分野の専門家との共同研究を通じて進めていますが、感性研究はまだ歴史が浅く、アプローチの手法も定まっていない部分があり、手探りの状況で進めていく難しさがあります。また、専門家の方と共同研究を進めるためには、その分野の知識の習得も欠かせません。その都度、学びを深めつつ、自分たちの研究目的を真摯にお伝えすることで、少しずつ手法を確立しています。
こうして得られた研究成果や知識は、私だけでなく研究所全体に共有していく必要があります。研究手法の構築、専門知識の習得、知見の共有など様々な課題と向き合う必要がある一方で、そうした課題を乗り越え進歩していくこと自体が、この仕事の面白さでもあります。また、著名な研究誌に論文が掲載されるような先生方と一緒に研究を行い新たな発見を得たり、関係性を築けたりすると、当然ながら大きなやりがいを感じます。

前に進むための「優しさ」
森永製菓のパイオニア精神は、新しいアイディアを追求する際、他部署や外部を巻き込んで進めていく姿勢に表れていると思います。入社時にも感じた森永製菓の社員の優しさが、社内で協力し合う雰囲気を自然に作り出し、それがさらに外部の協力者にも広がっていく様子が面白いです。私たちが進めている感性の研究はまだ形になっていない部分が多く、だからこそ自分たちだけで探求していくことは困難です。足りない部分を社内外の様々な方々に補っていただき、協力して進めていける環境は素晴らしいと思います。そして、優しさによって育まれる「お互いに尊重し合える関係」は、自分の考えや発見を率直に伝え、研究を前進させるための土壌にもなっています。こうした温かな人間関係は、実務としての研究における利点以外にも、長く働き続けるという側面でも大きなメリットにつながっているのではないでしょうか。

私が思う「就職先として見た際の、森永製菓の良いところ」
森永製菓の魅力は、人間関係の温かさと、熱意ある挑戦を後押しする文化にあります。周りの方が受け入れてくれる環境は、若手の皆さんが想いを発信しやすい雰囲気を生み出しますし、その提案を応援しようという風土があるからこそ、これまでにない研究を進める大きな力になるのです。私たちが手掛ける研究がやがて多くの人においしさを提供し、家族や友人たちの笑顔につながることはとても嬉しいものです。そんな瞬間に立ち会うたびに、この会社で働いて良かったと思います。