INTERVIEWS 07
品質保証部 分析グループ

信頼に応えるために、
おいしさを科学する。

学生時代は農学部に在籍し、微生物が生成する成分の中から農薬として活用できる物質を探る研究を行っていた。菓子メーカーに興味を持ったのは、生活に身近なものであることや、純粋に「楽しそうだ」と感じたことがきっかけだったという。その中で、高校まで打ち込んでいた部活動の経験からinゼリーに親しみがあったこと、そして内定後の面談で「和気あいあいと協力をしながら品質保証に携われる」と知ったことを理由に、森永製菓へ入社を決めた。

商品開発を科学で支える

品質保証部は、お客様や社会から求められる品質を、企画部門や営業部門、生産部門と協力しながら考え、統括していく役割を担っています。当社における品質とは、「商品の味や機能」だけを指すのではありません。企画のフェーズであれば、法規に沿った表示や表現ができているか、製造のフェーズであれば、企画書や研究所で定められた成分を維持し、安全・安心を含む品質を担保できているか、営業のフェーズであれば、適正な温度管理と納入が行われているかといった具合に、企画から販売までの流れにおけるあらゆる品質が含まれるのです。他方で、分析グループの具体的な業務としては機器を用いた分析が挙げられます。製品や原材料の安全性の確認としてアレルゲン分析などを行い、販売前に品質トラブルが発生した際には原因追及を実施。例えば、「機能性表示食品」に含まれるポリフェノールの配合量などを分析し、機能性食品として届出をする際の根拠や分析方法を構築することで開発を支援します。そのほかにも、チョコボールの原料として使われるピーナッツの受け入れ検査や、スナック菓子を焼き上げる際の焼成温度の分析など、科学的な視点からお菓子の香りや食感、安全性にどのような影響が生まれるかを定量化し、幅広く商品開発を支えていくことが私たちの役割です。

「おいしさ」を科学する責任

現代の商品開発の現場は、ただ単に「これはおいしい」というだけで成立させることが難しくなっています。「なぜおいしいのか」を数値やグラフによって定量的に説明しなければ、開発の場面のみならず、営業をする際にお得意先様のバイヤーを納得させることもできません。
その中で、おいしさの科学的根拠として重要になるのが「香り」です。人によるテストを通じた香りや味わいの感じ方の評価を「官能評価」と呼びますが、分析において難しいのは、「官能評価」と「数値的に分析した成分」の相関関係が想定通りにいかないケースです。以前、「ミルク感が増した」という評価がある一方で、香気成分の数値に大きな変化は出ていないケースがありました。当初はその理由が分からず苦労しましたが、試料の分析や結果の議論を通じて丁寧に原因を探り、「商品に含まれる乳脂肪の微細化」が要因であることを突き止めました。つまり乳成分の表面積が大きいことで、「口内で香りを感じる時間が長くなった」という検証結果が得られたのです。
このように、多くの資料をあたり、先輩方や同僚と話し合うなどを経て、ようやく感覚的な要素と定量的な要素を紐付けることができるのです。そうした苦労の末に生まれた商品が店舗に並び、お客様から「おいしい」と言ってもらえたときには、大きな達成感を感じられます。長い歴史を持つ森永製菓の信頼を支える責任は、その分だけ大きなやりがいにつながっています。

「今のおいしさ」の先を考え続ける

仕事を通じて私が感じているのは、今の品質に満足することなく、様々な方法で「よりおいしくできないか」と考え続ける、森永製菓全体に浸透する前向きな姿勢です。その代表的な例が、チョコモナカジャンボのパリパリ感を生み出すための取り組みです。その取り組みでは、パリパリ感を出すため、技術的に工夫をするだけでなく、様々なデータを参照しながら在庫量を調整し、提供時の鮮度も考慮したマーケティングを行います。こうした「よりおいしくできないか」を追求する姿勢は、パイオニアだからこそではないかと思います。また、研究員の方が海外出張に出かけた際に、現地で気になった食材を持ち帰り、「なぜその味がするのかを分析してほしい」と依頼されたこともありました。そうした追求の姿勢から生まれたのが、アレルギー物質28品目を使用していないアイスである「OKOMETO(おこめと)」や、inゼリーなのです。今後も、「おいしい」で足を止めることなく、「よりおいしくできないか」を突き詰めていきたいです。

私が思う「就職先として見た際の、森永製菓の良いところ」

当社には、誰かが新たなチャレンジをすると、周囲が必ず応援をしてくれる風土があります。「やってみたらいいよ」という声から始まり、たとえ失敗したとしても原因を一緒に考えてくれる文化があるのです。そして、創業120年を超える歴史の長さが、働くうえでの安心感になっている点も魅力です。私が入社してからは、リーマンショックやコロナウイルスの感染拡大など様々な外部環境の変化がありましたが、当社はそうした変化にも対応してきました。安心して挑戦できる環境で、お菓子に囲まれて働きたい方は、ぜひ当社を志望してください。