みなさんは、「コラーゲン」と聞いてどのようなイメージを思い浮かべますか?
「美容や健康に欠かせないもの」というイメージを持たれている方も多いかもしれません。しかし、実はコラーゲンは、私たちの身体をつくる上でとても重要な役割を担っているのです。
コラーゲンはどのような種類があるのか、どのようにしたら効率的に身体に取り入れることができるかについてご紹介いたします。
コラーゲンは、身体を構成するタンパク質のひとつです。コラーゲンは主に細胞の外に存在していて、細胞同士をつなぎ合わせる役割を果たしています。
私たちの身体は約20%がタンパク質でできています。そのタンパク質のおよそ30%がコラーゲンです。体重50kgであれば、約3kgのコラーゲンが体内に存在している、ということです。
出典:コラーゲン完全バイブル(幻冬舎)
身体の中のいたるところにコラーゲンは存在しています。コラーゲンが皮膚に多く含まれていることはよく知られていますが、皮膚以外にも骨・軟骨、血管などにコラーゲンが多く含まれています。
コラーゲンは、肌の71.4%(※1)、⾻の50%(※2)、関節軟⾻の60%(※3)を構成する、体に不可⽋な成分です。
※1 コラーゲンとゼラチンの科学(建帛社)より一部改編、乾燥重量比
※2 コラーゲン完全バイブル(幻冬舎)体積比
※3 田中栄: グルコサミン研究, 4, 92 (2008) 乾燥重量比、構成成分の中央値を用いて水以外の成分を100%として算出
コラーゲンは、その働きや役割によって種類が分けられます。これまでの研究によって、実に29種類のコラーゲンがあることが知られています。
数あるコラーゲンに共通している特徴は、「三重らせん構造」であるということです。タンパク質はアミノ酸がつながってできていますが、多くはコラーゲンの材料になるアミノ酸の長い鎖が3本寄り集まって、らせん状の構造を形作ってコラーゲンになっていると言われています。
裁縫に使う糸も、複数の細かい糸が重なって1本の強い糸になっていますが、コラーゲンも同様に、集まることで安定した構造を作り、しっかりとした足場や構造をつくることに貢献していると言われています。
コラーゲンにはたくさんの種類がありますが、具体例として、代表的なI型からV型のコラーゲンについてご紹介します。
I型コラーゲンは、身体の中で一番多く、皮膚や骨をつくります。皮膚のコラーゲンの約90%はⅠ型コラーゲンです。
Ⅱ型コラーゲンは、関節や軟骨に特に多く含まれるコラーゲンです。眼の角膜や硝子体にも含まれています。
Ⅲ型コラーゲンは、血管や赤ちゃんの皮膚などに多く含まれています。皮膚のコラーゲン線維はⅠ型コラーゲンとⅢ型コラーゲンで構成されていますが、Ⅰ型コラーゲンと比較して、Ⅲ型コラーゲンはしなやかな細い線維であることが特徴です。
Ⅳ型コラーゲンは、肌の基底膜(きていまく)に多く存在しています。基底膜とは上皮の細胞層と間質の細胞をつなぎ合わせる働きや、細胞の成長を促す働きをしている部分です。Ⅳ型コラーゲンは線維状ではなく、網のような形をして、シート状の構造をとることが特徴的です。
Ⅴ型コラーゲンは、血管や平滑筋、子宮などに多く含まれています。
参考文献:K.Gelse et al.:Adv. Drug Deliv. Rev., 55 : 1531 (2003)
いろいろなタイプのあるコラーゲンですが、実は由来となる生き物によって構造が異なると言われています。
一般的に用いられているものとしては、魚からとったコラーゲンと豚からとったコラーゲンがあります。前者(魚由来のコラーゲン)はアミノ酸に分解されやすいのが特徴で、後者(豚由来のコラーゲン)は人間のコラーゲンに近い構造を持っています。
コラーゲンは、その働きや役割によって種類が分けられます。これまでの研究によって、実に29種類のコラーゲンがあることが知られています。
「コラーゲンは口から摂っても意味がない」という意見を耳にしたことがある方もいるかもしれません。食べ物などから摂取できるコラーゲンは、分子が大きく、消化・吸収されにくいことが難点ですが、消化・吸収しやすく低分子化したのが「コラーゲンペプチド」です。
最近の研究では、摂取したコラーゲンペプチドの内、その一部はアミノ酸に分解されずに、コラーゲンペプチドのまま腸で吸収されるということがわかってきました。
腸で吸収されたコラーゲンペプチドは、血液にのって身体のすみずみまで届けられると考えられています。
コラーゲンを摂ると決めたら、まずは「継続」することが大切です。食事の時や寝る前等時間を決めておくと、摂り忘れることを防げます。毎日無理なく続けるために、時間を決めておくとよいでしょう。消化・吸収されやすい「コラーゲンペプチド」であることもポイントです。
コラーゲンを多く含む代表的な食材は、肉類では「鶏手羽先」「牛スジ」「豚白モツ」、魚介類では「フカヒレ」「うなぎの蒲焼き」「鮭(皮あり)」などがあります。
コラーゲンを多く含む代表的な食材 | ||
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肉類 | 鶏手羽先 | 1,550mg |
豚白モツ | 3,080mg | |
牛スジ | 4,980mg | |
魚介類 | 鮭(皮あり) | 2,410mg |
うなぎの蒲焼き | 5,530mg | |
フカヒレ | 9,920mg |
※100g当たりのコラーゲン含有量(食材の分析値、湿重量:水分は未測定)
※野口ら:栄養学雑誌, 70, 120(2012).
一般的に、通常の食事から1日1,900mg(※1)程度のコラーゲンを摂取しているといわれています。 コラーゲンの1日の摂取推奨量は5,000mg~10,000mg(※2)ですが、 これらの食材からコラーゲンを継続的に摂取しようとするとかなりの食事量が必要となります。また、経済的にも大変です。 ドリンクやサプリメント等で上手にコラーゲンを補うのがよいでしょう。
※1 野⼝ら:栄養学雑誌, 70, 120(2012).
※2 森永製菓推奨量
コラーゲンはドリンクタイプやパウダー状(粉末)など様々な形状の商品があります。自分に合った商品を選びましょう。
例えば、コラーゲンは独特な匂いがあります。ドリンクタイプの中には、その独特な匂いが気にならないように、甘みをつけているものが多くありますが、「甘すぎて飲めない」というケースもあります。どんなに美容や健康によくても、きちんと飲み続けられないと意味がありませんよね。
そのまま飲んでもおいしいコラーゲンドリンクもありますが、毎日同じ味だと飽きてしまうこともありますから、いろいろな飲み方、アレンジ方法を試してみるのもいいですね。例えば、ジュースで割るという方法があります。アセロラジュースや、野菜のスムージーなどに入れて飲むと、ごくごくおいしく飲めて美容にもおススメです。
パウダータイプのものであれば、匂いが気にならないものが多く、様々な食品に混ぜたアレンジが簡単にできます。例えば、コーヒーや紅茶、スープ等のあたたかいものに混ぜて飲むとよく溶けておすすめです。ヨーグルトや牛乳等の冷たいものでも、よく混ぜてしまえばダマになる心配もありません。お味噌汁やスープ等のお料理に混ぜて摂取することができます。
また、商品の形状に加えて配合されている栄養素を確認することも重要です。例えば、身体のなかでコラーゲンを作り出す際にはビタミンCが必要となりますので、ビタミンCが含まれる商品かどうかも気にするようにしましょう。
美容と健康の為、自分自身に合う方法を見つけ、毎日の生活にコラーゲンをおいしく摂り入れていきましょう。
■参考文献
■参考URL
記事公開日:2021年2月10日
記事更新日:2023年2月10日