江戸時代の中期、今の午後2時から4時にあたる「八刻(やつどき)」に食べていた軽食が、「おやつ」の語源だとか。おやつは働く大人の世界のもので、団子やいも、入り米などが食べられていましたが、8代将軍の徳川吉宗が砂糖の国内生産を奨励したことにより、砂糖が手に入りやすくなり、お菓子を食べる習慣が広がったそうです。
おやつが子どもにまで広がったのは、実は明治時代のこと。最初は、栄養補給のためだったそうですよ。ちなみに、明治になると時刻の数え方が変わったため「お三時」という呼び方が生まれましたが、「おやつ」ほど広がらなかったようです。
甘いお菓子やケーキ、パンなどを飲み物と一緒におしゃべりしながら楽しむ──日本のおやつと似た間食は、世界各地にあります。英国の上流階級で生まれたアフタヌーンティーは日本と同じ3時頃ですが、フランスでは「カトゥルール(4時)」が軽食の意味で用いられ、スペインのほかアルゼンチンなど南米の国々には午後5時頃に「メリエンダ」と呼ばれる間食をとる習慣があります。
またフランスでは、ランチタイムが午後1時頃からスタートし、食事をゆっくり楽しみます。だから、“3時のおやつ”ではおなかがまだ空かないため、“4時のおやつ”となったそうです。一方、スペインやアルゼンチンなどでは、夕食をとる時刻が非常に遅いため、夕方に間食を食べる習慣ができたようです。