季節の変わり目に、どうも体調がすぐれないと感じたことはありませんか?
残暑のこの時期、夏バテにお困りの方もいるのでは。そこで今回は、アスリートの栄養やコンディションをケアする公認スポーツ栄養士の清野隼さんに、スポーツ選手も実践する夏バテ対策についてお話しを伺ってきました。
監修
森永製菓株式会社ウイダートレーニングラボ
スポーツ栄養チーフ 公認スポーツ栄養士
清野 隼 先生
スポーツ栄養チーフ 公認スポーツ栄養士
2008年、仙台大学体育学部運動栄養学科体育学部卒業後、森永製菓株式会社ウイダートレーニングラボに入社。2014年に筑波大学人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻修了(体育学)し、森永製菓株式会社ウイダートレーニングラボスポーツ栄養チーフに就任、現在に至る。2016年日本スポーツ栄養学会奨励賞、2017年National Strength & Conditioning Association Japan 最優秀論文賞受賞。筑波大学や日本健康医療専門学校で非常勤講師を務める他、スポーツ栄養研究誌へ事例・研究・実践報告を寄稿。数々のトップアスリートの栄養教育に力を注ぐ。
仙台大学体育学部卒業後、森永製菓株式会社ウイダートレーニングラボに入社。
2014年には同ラボ内スポーツ栄養チーフに就任し、スポーツ栄養研究誌をはじめ、多数の事例・研究・実践報告を寄稿やトップアスリートからジュニアアスリート、また指導者養成まで幅広く栄養教育に力を注ぐなどし現在、国内トップのスポーツ栄養士として注目を集めている。
どうして夏バテや季節の変わり目に体調不良が起こるのでしょう?
身体にはホメオスタシス(恒常性)といって、できる限りその人の身体を一定に保とうとする生理的な機能があるんです。たとえばすごく暑くなった場合にできるだけ体温を戻そうとするとか、もしくはすごく寒くて冷えてしまった場合になんとか体温を上げようとするとか。身体が自発的に適応しようとするのですが、寒暖の差が激しくなると、その機能が追いつかなくなってしまって、いわゆる体調不良や夏バテが起こりやすくなります。
そこで、いかに暑い環境に身体を適応させていけるか、事前に体調を把握しておいて、変化に合わせて栄養補給量や水分補給量を変えるなどの対策が必要になります。スポーツ医科学・スポーツ栄養学では「暑熱順化」「暑熱対策」等と呼ぶのですが、実際に身体が適応してくるのには、運動を伴ったとしても1週間ほどはかかると言われています。
夏バテしない身体をつくる4つの方法
食事以外の生活でできる対策には、「睡眠」「運動習慣」「リズム(規則)」「体温のコントロール」の4つがあると思います。
1:睡眠
暑くて眠れないという人がよくいると思いますが、そういう人は夏バテになりやすいと言われています。気温が下がりすぎない程度(26~28℃くらい)のクーラーをつけた状態で入眠し、暑さで眠れないという状態を避けるようにしましょう。サーカディアン・リズムという体温の日内変動によって、朝になるにつれ体温は自然に上がっていきます。そのタイミングにタイマーを合わせてクーラーを切ったり、28℃くらいの高めの温度設定で一晩つけて寝るなどして、体温をコントロールできる眠り方が、今は推奨されています。
2:運動習慣
定期的に運動するというのは、汗をかくいいきっかけになります。汗をかくとその汗が蒸散することで熱をうばってくれますし、汗をかける身体――つまりホメオスタシス(恒常性)の機能が働く身体にする、根本的な体力をつけるという意味でも運動習慣は大切です。呼吸をしっかりして心肺機能を使う、筋肉を使うということが、体力アップにつながっていくと思います。自分に合った運動をチョイスしてみてください。
3:リズム(規則)
睡眠でも触れましたが、人にはサーカディアン・リズムというものがあり朝や夜で体温が変化します。太陽が昇るにつれて人の体温も上がり、夜になるにつれて体温も下がっていくんです。そのリズムを保つためには、規則正しく寝て、起きて、食事もしっかりリズムよく摂り、そして運動をするというのが、夏バテ防止にはよいでしょう。夜型の生活をしている人でも、起きる時間を一定にするなどリズムを決めることが重要です。
4:体温のコントロール
2020年のオリンピック・パラリンピックが暑熱環境で行われることもあり、ここ最近、体温のコントロールについての研究が日々アップデートされています。中でも力を入れられているのが「クーリング」に関する研究だと思います。暑い時期に外で運動をすると熱中症になることもありますよね。運動する前の段階で体温を下げておくと「プレクーリング」いう方法や、短い時間でもよいので少しアイシングをはさむ「ショートアイシング」という方法も推奨されています。そういった運動時のクーリングも、夏バテ対策には大切です。氷が溶けるときに熱をうばってくれるので、シャーベット状のもの(アイススラリー)を食べると、舌下で溶けず身体の中で溶けるので、深部体温を下げやすいとも言われています。
夏バテや体調不良のときは、食べられるものからトライ!
夏バテや季節の変わり目の不調で食欲がなくなってしまうアスリートもいます。そんなときは、まずどんなものなら食べられるのかを選手にヒアリングします。辛味のあるカプサイシンや酸味のあるもので食欲を促したり、少し粘り気のあるようなもの、旬の野菜をできるだけ食べさせてみたり……ひとりひとり違うので、その人に合った対策をしています。 暑熱環境に適応できなくて腸内環境が乱れるという研究示唆もあります。選手に対しては乳酸菌や発酵食品――豆腐、納豆は食べやすいですし、ヨーグルトは菌が偏らないように種類を変えて食べさせたり、根菜類など食物繊維を使ったりしています。 食べられないと思って食べないよりも、どんなものなら食べられるかをトライしてみるのがよいですね。自分が食べやすいものを探してみましょう。森永製菓の「ヘルシースナッキング」は、いろんな栄養素も入っていますし、いろんな味がありますので、食欲がないときでも試してもらえるようなものかなと思います。暑熱対策として腸内環境を整えてくれる食物繊維も入っているので、こまめに食べて、うまく臓器を動かすようにし、暑さに強い身体を日々の食生活と運動からつくっていってほしいですね。