ヘルシースナッキングの目的は、こまめに食べることで極端な空腹を作らず、食べ過ぎを防止することです 。ヘルシースナッキング実践のポイントを専門の先生に伺い、まとめました。
大妻女子大学家政学部 学部長
食物学科青江 誠一郎 教授
肥満を原因とするメタボリックシンドロームの発症に及ぼす食事因子の研究を中心に取り組む。特に難消化性成分、乳成分、構造脂質、その他機能性成分が内臓の脂肪細胞の肥大化、アディポサイトカインの分泌などに及ぼす影響を動物実験を主体に研究を行う。近年では、食餌因子の研究にはどのような動物、飼料、評価法がよいかについても検討を行っている。
糖質の吸収を緩やかにする「食物繊維」と、
満腹感が持続する「たんぱく質」をしっかり補充。
■糖質の吸収を緩やかにする食物繊維
空腹感を抑えるためには、血糖値と遊離脂肪酸*の関係が大切です。血糖値が上昇すると、空腹感をもたらす遊離脂肪酸が減少します。ただし血糖値の急上昇は望ましくないので、糖質の吸収を緩やかにする「食物繊維」が豊富に含まれる穀類や豆類などが良いと考えられます。
*遊離脂肪酸:血糖値が低下すると、脂肪組織などから血液中に放出される 遊離脂肪酸は、空腹感をもたらす空腹物質と呼ばれています。
■満腹感が持続するたんぱく質
最近、適度なスナッキングは、夕食までの空腹感を抑えてくれる方法のひとつと肯定的にとらえ、よりよい間食の内容や食べ方の研究が盛んに行われています。
一例として、アメリカの大学で、高たんぱく大豆スナックをおやつの時間に食べると、夕食まで満腹感が持続することが検証されました1)。
このように「たんぱく質」は、腹持ちを良くする作用が科学的に報告されています。
1) JNutr;145(7):1614-22,2015
間食のタイミングは、
脂肪を蓄積しにくい「午後2時から3時頃」。
ヘルシースナッキングのタイミングについては「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質が関係します。 BMAL1は体内時計の調節のほか、脂肪を蓄積する酵素を増やすという働きがあります。BMAL1の生成量は昼過ぎの午後2時から3時頃が最も少なくなるため、この時間帯に間食をしても、脂肪が蓄積されにくいのです。また、夕食前に間食をとることで、夕食を食べ過ぎないようにセーブすることも期待できます。
マウスを使い、脂肪組織中のBMAL1の量を調べたところ、夜中の2時が最も多く、午後2時から3時頃が最も少ないことがわかります2)。
2)榛葉繁紀 監修. 太らない時間に食べる!体内時計ダイエット. マガジンハウス, 2010.
1日の間食は「200kcal」程度が目安。
成人に適した1日あたりのヘルシースナッキングで摂取するカロリーは、菓子・嗜好飲料の摂取量「200kcal」がひとつの目安になります3)。ただ、間食でとった200kcalは、3食から引くことが大切です。
3)食事バランスガイド(2005年)(厚生労働省・農林水産省)
*食事バランスガイド(2005年)(厚生労働省・農林水産省)より