人間の3大栄養素は「炭水化物」、「脂質」、「たんぱく質」です。もともと米を主食としてきた私たち日本人は、このなかでも「炭水化物」を多く摂取してきました。しかし、食の欧米化や近年の低炭水化物ダイエットブームによる炭水化物不足が、問題を招くことがわかってきました。
また、日本でよく耳にする「食べない=やせる」という食生活も、最新の研究では見直されてきています。ここでは、最近明らかになってきた正しい知識を専門の先生に伺い、まとめました。
大妻女子大学家政学部
学部長 食物学科青江 誠一郎 教授
肥満を原因とするメタボリックシンドロームの発症に及ぼす食事因子の研究を中心に取り組む。特に難消化性成分、乳成分、構造脂質、その他機能性成分が内臓の脂肪細胞の肥大化、アディポサイトカインの分泌などに及ぼす影響を動物実験を主体に研究を行う。近年では、食餌因子の研究にはどのような動物、飼料、評価法がよいかについても検討を行っている。
炭水化物の摂取を極端に制限すると、体内のエネルギーが不足するため、それを補おうとして筋肉を分解してエネルギーにしてしまいます。筋肉が減少し、体内で消費できるカロリーが減ります。それに伴って増加した余剰エネルギーが体脂肪として蓄積され続けるため、隠れ肥満になってしまうのです。こうした隠れ肥満は、消費できるカロリーが少ないことから、「リバウンド」を起こしやすい状態と言うことができます。
炭水化物をこまめにとり入れて空腹を防ぐヘルシースナッキングがおすすめです。
炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されています。このため、炭水化物を減らすと、腸内環境を整えることで腸内毒素を減らして 、キレイなお肌を作るのに大切な食物繊維まで不足してしまうのです。
必要以上に炭水化物を制限することは、健康と美容に問題を起こす可能性があるのです。
食事は1日3食よりも6~7回と分けたほうが太りにくいといえます。
このことを調べた研究結果があります。下記の表のように、1日の食事回数が6回以上の人は、4回未満の人と比較して総摂取カロリー量が低く、肥満度(体格指数BMI)が低くなりました1)。
1日の食事回数 | 4回未満 (n=577) |
6回以上 (n=412) |
---|---|---|
BMI / 1日の総摂取エネルギー量 |
29.0 / 2,472kcal |
27.3 / 2,129kcal |
1) J. Acad. Nutr. Diet.;115,4,528-536,2015