「食育」という言葉をご存知でしょうか。
これは、毎日の食事を通して心身を健康に保ち、成長発達を促すという意味で、近年、子育ての重要な柱と位置づけられてきました。
今回、「食育」の心理的発達の側面に着目し、日常的な食事について、それを準備する、調理する、食べる、そして後片付けをするという一連の行為を親子で一緒に行うことが子どもの成長発達だけでなく、子どもに大きな影響を与える親にとっても同様の効果をおよぼすと考え、実際にどのような効果が得られるのかを明らかにしたいと調査を計画したのです。
調査にあたって、今回は、親子でのホットケーキ作りをとりあげました。一般的に調理は、複雑な過程をとり、危険が伴いやすいものです。それに比べてホットケーキは、生地を作って焼くだけですから親は安心して子どもと一緒に調理する体験を持ちやすいだろうと考えたからです。
そして、子どもにとってもホットケーキ作りは工作をやっているかのように楽しめますし、食べ物としても魅力的ですので積極的に取り組めるだろうと考えました。
白百合女子大学 人間総合学部 発達心理学科 教授。
発達心理学と文化心理学などを専門領域に研究されています。