トレーニングラボ for e-sports

esportsプレイヤーのための
トレーニング情報サイト

Scroll Down
scrollDown
  • トップ
  • コラム
  • eスポーツ選手が知るべき「姿勢」って? 座っているだけで体は疲労する 前編

eスポーツ選手が知るべき「姿勢」って? 座っているだけで体は疲労する 前編

2020/02/12

物事を突き詰める人には、職業病といわれる体の異変が起きがちです。eスポーツにおいては、長時間座り続けることによる肩こりや腰痛などが職業病のひとつとして挙げられるでしょう。
学校や職場で椅子に座り続け、自宅に帰ってからも座ってゲームをプレイし続ける人も多いのではないでしょうか。「ただ座っているだけ」と思いきや、一日の半分以上も同じ姿勢でいると、体の特定の部位に過度な負担がかかります。その負担はやがて、肩こりや腰痛といったかたちで体に表れるわけです。

今回はeスポーツ選手のリスクとして、「座っているときの姿勢」について、前編後編に分けて解説していきたいと思います。

後編はこちらから
eスポーツ選手が知るべき「姿勢」って? 座っているだけで体は疲労する 後編

1.「座る」とは運動である

地球上では常に重力の影響を受けるため、人間の体にも負荷がかかり続けています。
たとえ動かなくとも、姿勢を維持するためには、この負荷に対して力を発揮し続けなくてはならず、「歩く」や「走る」と同じように「座る」や」「立つ」という行為も運動とみなされています。実際に、座っている間も筋肉は活動していて、カロリーも消費されています。

人間は何もしていないようでも姿勢を維持するために筋肉を使っていて、カロリーも消費されています。これらの筋肉を「姿勢筋」と呼びます。

よく「ただ座っているだけなのに疲れた」なんて言いますが、ずっと同じ姿勢でいるということは、特定の姿勢筋を使い続けるということでもあるので、当然ながらそれらの筋肉には疲労が溜まっていきます。

疲労が溜まってくると、筋肉は本来持っている力を発揮できなくなります。自然と姿勢が崩れてしまうのは、筋肉が姿勢を維持する力を発揮できなくなるためです。姿勢が崩れていると重力の影響で特定の部位に負荷がかかり続け、やがて腰などを傷める原因となってしまうのです。

2.eスポーツ選手がやりがちな「悪い姿勢」
普通に座っているだけでも体に負担はかかるのに、eスポーツ選手は自ら「悪い姿勢」をとる傾向にあります。あなたが集中してプレイしているときの姿勢を思い起こしてみてください。モニターに顔を近づけるようにして、前傾姿勢を取っていないでしょうか。

この姿勢、実は首や肩にとても負担がかかっています。頭を突き出しているため、首や肩の筋肉で頭を支えている状態になります。

頭の重さは体重の約10%と言われており、約5―6キロの重さがあります。これを首や肩の筋肉で支えるとなれば、負担は相当なものです。この姿勢をとり続けていれば、首や肩の筋肉に疲労がたまり、首こりや肩こりに繋がっていきます。

また、前傾姿勢では「猫背姿勢」になりがちです。猫背姿勢になると顎が上がるようになり、首の筋肉は縮んだ状態で固定されます。本来筋肉は縮むことで力を発揮しますが、すでに縮んだ筋肉は負荷に耐えられるだけの力を発揮することはできず、疲労が早く溜まってしまい、こりに繋がっていきます。

ただ、ゲーマーのパフォーマンス面で考えると、前傾姿勢が悪いとは言い切れません。野球のピッチャーにいろんな投げ方の選手がいるように、プレーのスタイルも様々です。
いわゆる「正しい姿勢」が、必ずしももっともパフォーマンスを発揮できる姿勢であるとは限らないとも言えます。

一方で、姿勢による疲労がパフォーマンスに悪影響を及ぼす側面もあります。疲労が溜まると、姿勢筋の様々な箇所で血流が弱まります。血流が弱まることで脳へ送られる血液量が減り、集中力や判断力などの低下に繋がります。大会で1日を通して長時間プレーすることを要求されれば、勝ち続けるほどにパフォーマンスが低下していくことになります。

日々の練習も長時間に及べば、疲労が溜まり、練習の質は少しずつ低下します。このように、勝利を意識するのであれば、体に負担のかかりにくい姿勢を意識することも戦略と言えるでしょう。

著者・砂拭