社会起業家
川越 一磨さん
社会起業家
川越 一磨さん
みんながハッピーに
なる仕組みで
「食品ロス」の問題に
チャレンジ
食品ロスとは、まだ食べられるのに
すてられている食品のこと。
原因は売れ残り、
食べ残しなどで、日本でも多いんだ。
食べ物がなくてこまっている人もいるのに……
もったいないね。
これを少しでも減らそうと、
川越さんはある仕組みを作ったよ。
食品ロスを減らすためのフードシェアリングサービス「TABETE」を展開しています。シェアリングは分け合うという意味。スマートフォンのアプリを通じ、お店ですてられてしまうかもしれない料理、べんとう、パンやケーキなどの食べ物を、近くのほしい人に結びつけ、買ってもらう仕組みです。
今、登録しているユーザー(利用者)は約48万人で、お店は約2000店舗(2021年12月現在)。月におよそ1万人が利用しており、2018年4月のスタートから3年半で20万食以上をレスキュー(すくうことが)できました。1食500グラムとして100トン以上です。
もったいないだけでなく、処理にたくさんのエネルギーも使われる食品ロス。日本では年間約600万トン※が出ており、半分近くは家庭からです。少しずつ減ってはいますが、まだまだ減らさないといけません。
※農林水産省・環境省「平成30年度推計」
「TABETE」のイメージ画面。
お店であまっている食品を買うことでレスキューできる。
もともと食べることが好きで、食に関心がありました。大学生の時に日本料理店で調理のアルバイトをし、卒業後も飲食関係の会社に就職。大量の食べ残しがすてられているのを見て、モヤモヤしていました。
その後、大学の後輩と会社を立ち上げ、食品ロスの問題を解決するためには、何か仕組みが必要だと気づきました。そして、ヨーロッパで広がり始めていたサービスを参考に、「TABETE」を作りました。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
社会にとっていいことを仕事にするのは、簡単なことではありません。経済的な苦労はたくさんしてきました。だからこそ、自分たちがやりとげて、社会の常識を変えていかなければと思っています。
うれしいのはサービスをほめられた時。まるで自分の子がほめられたようです。「やっとレスキューできました」というユーザーの声や、お店から「ロスが減って利益が上がった」「他の店にも広げたい」といった声をかけてもらえると、やりがいを感じます。
「TABETE」のサービスを紹介する川越さん。
お店やユーザーの数が増えれば、さらに多くの食品をレスキューできる。
両親とも働いていたので、小学生の時からかんたんな料理はしていました。
小3~6は聖歌隊で歌を歌っていました。通っていたのは小中高一貫の男子校。体も声も大きくて目立つ方で、勉強はきらいでやんちゃでしたね。より道など、ちょっと悪いことを繰り返したとき、先生に「悪いやつは一生悪い」としかられてしまいました。この言葉をくつがえしてやろうと、悪いことをするのはやめました。そして、正しいと思うことは堂々と意見を言う子になりました。
中学生になってからは文化祭の代表をやったり、そのためにパソコンを勉強したりと、行動力もありました。
ぼくらが大事にしているのは「だれも損しない」こと。みなさんにもそれを考えられるようになってほしいです。
大切なのは、「なぜ?」「どうして?」と思うこと。そこが始まりです。そして、調べる。色々な人に聞いてみてもいい。インターネットでもできます。さらに、どうすればよくなるかを考えてみてください。
みんながハッピーになれる仕組みを生み出せるかどうか。そこに未来がかかっています。
プロフィール
慶應義塾大学総合政策学部でまちづくりを研究。飲食チェーン店をへて、大学時代の研究対象だった山梨県富士吉田市で空き家を使ったコミュニティカフェやこども食堂などを立ち上げた。2015年、食で社会を変える会社「コークッキング」を創業。