サステナブルなお仕事No.23

高校生起業家きぎょうか

薄井華香うすい はるかさん


高校生起業家きぎょうか

薄井華香うすい はるかさん

すてられてしまう果物を
おいしいお菓子に!
まだ食べられるものがすてられてしまう「食品ロス」の問題に、大好きな果物から取り組もうと、お菓子のお店を立ち上げた高校生。お店の中はリンゴにミカン、ブドウなど色々な果物のお菓子がいっぱい! そこにはどんなメッセージがつまっているのかな?

↓さらにくわしいインタビュー↓

Q1.
どんなお仕事クエッ?
東京の世田谷区で、果物を使ったお菓子のお店を経営しています。
「食品ロス」が多い日本では、「皮にキズがある」「大きさや形が規格外」といった理由で、味には問題がないのにすてられている果物がたくさんあります。そんな果物をできるだけ使い、フルーツ大福やフルーツようかん、リンゴアメなど、おいしいお菓子を作って販売はんばいしています。
使う果物はその時期に合わせたこだわりのものを使用しています。最近は、農家の人たちに作り手のこだわりなどを聞いた動画をお店で流して、お客様に、生産する人たちの想いを知ってもらうことにも力を入れています。

現在17さいで高校2年生です。通学する、しないを自由に選べる通信制の学校なので、今は仕事が終わった後などに勉強し、両立しています。
最初に始めたフルーツ大福の専門(せんもん)店からリニューアルし、2022年12月10日に果物とお菓子の店「華果(はなか)」をオープン。果物を使ったさまざまなお菓子を作っている。
最初に始めたフルーツ大福の専門せんもん店からリニューアルし、2022年12月10日に果物とお菓子の店「華果はなか」をオープン。果物を使ったさまざまなお菓子を作っている。
そのままでは食品ロスになってしまう果物も使用。素材の味を生かしている。
そのままでは食品ロスになってしまう果物も使用。素材の味を生かしている。
農家へひんぱんに足を運び、そこで知った作り手の姿や想いを伝える取り組みも始めた。
農家へひんぱんに足を運び、そこで知った作り手の姿や想いを伝える取り組みも始めた。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
親が果物や野菜の仲卸なかおろし業※を営んでいるので、少しキズがあるだけで売り物にならない果物や野菜がたくさんあるのを見てきました。
地元に行きたい高校がなくて東京で進学し、スーパーでアルバイトを始めたのですが、そこでも目にしたのは大量の食材がすてられている光景。大好きな果物が一体どれだけすてられているのだろうと悲しくなり、その果物でみんなを笑顔にできたらいいなと考えたのが、起業のきっかけです。
フルーツ大福店の社長さんに考えを伝えたら、「いいね」と言ってもらえ、そのグループとしてお店を始めたのが高校1年生の15さい。取り組みや商品を広げようと独立し、今のお店を作りました。

「広い世界を見るのもいいのでは」と東京に来るのをすすめてくれたのは両親で、起業したいと言った時も「やりたいことが見つかってよかったね」とせなかをおしてくれました。

※農家などの生産者から市場にとどく商品を買い、スーパーなどの小売店に売る業者
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
一番苦労したのは、お店で働いてくれる人たちに自分の想いを伝えることです。言葉で説明するのがむずかしく、なかなか伝わらなくて時間がかかりましたが、今は想いを共有しながら仲良く店づくりができています。

感動したのは、果物のことが知りたくて農家をたずねた時のこと。買う人が気づかない所にもとことんこだわる姿すがたがありました。
ふくろづめ作業を体験させてもらったことがあるのですが、商品を一つひとつていねいにそろえ、ちょっとのことでも何度もやり直しでした。きれいに入っているのは当り前と思っていたけれど、実はそうではなく、買う人のことを考えてこんなに努力していたんだと、おどろきました。その熱意を伝えたい、せっかく作ったのにすてられる果物を救いたいという気持ちが強くなりました。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
料理が好きなので小さい時からよく夕ごはんやお菓子を作っていて、父が持ち帰る売り物にならない野菜や果物も使っていました。
小学校の高学年でやっていたのは、作ったお菓子を1個10円で家族に買ってもらうお店ごっこ。卒業アルバムの「100万円あったら何をする?」というらんには「会社を経営する」と書いていたし、社長になるという目標は低学年のころからなんとなくありました。

でも、勉強も運動もできる方ではなく、中学では少し学校に行っていなかったことも。
ほこれるものがなかったから、自分にしかできないことは何だろうと考え、それはみんなより早く社会で何かを形にすることではと思い、高校生で起業しました。
以前は何のために勉強するのかわからずやる気が出なかったのですが、今は大切さがわかったのでちゃんと勉強しています。

お菓子でずっと好きなのはグミ。小さい時はチョコボールもよく買っていて、金と銀のエンゼルが出るのも楽しみでした。
Q5.
未来の大人たちへ
未来をつくっていくのは私たち。身近でできる一人ひとりのサステナブルな行動が大切です。
買い物の時、商品はたいてい手前に消費期限の近いものがおいてあるので、手前から取ることで、期限が切れてすてられるものをへらせます。他にも、食べきれないほど買わないなど、できることをみんながやれば大きな力になるはずです。

わたしは15さいでお店を始めましたが、何かを始めるのに早過ぎることはないと思います。もしやりたいことがあったら行動に移して。そうするとだれかに伝わり、前に進む手がかりがきっと見つかりますよ。
プロフィール
石川県金沢かなざわ市生まれ。中学卒業後の2021年4月、親元をはなれて東京の高校へ進学。6月に自分の会社Soffioneソッフィオーネを立ち上げ、「金沢フルーツ大福 凛々堂りんりんどう 経堂きょうどう店」をオープン。2022年12月に「華果」としてリニューアルオープンした。
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