サステナブルなお仕事No.28

コスメノイッポ ディレクター

大澤美保おおさわ みほさん


コスメノイッポ ディレクター

大澤美保おおさわ みほさん

使い残しの化粧品けしょうひんがクレヨンに変身!?
ワクワクの循環じゅんかんでゴミをへらす
アイシャドウやチーク、口紅くちべになど、きれいな色がいっぱいのカラーコスメ(化粧品)。実は最後まで使い切れずにすてられることが多いんだって……。そこで大澤さんは、ゴミになるはずのカラーコスメを
アップサイクル! クレヨンに再生しているんだ。

※すてられるはずのものに新しい価値かちをつけて再生すること。
対してリサイクルは原材料として再利用することをいう。

Q1.
どんなお仕事クエッ?
買ったのに、使い切れずに残っているようなカラーコスメを回収かいしゅうし、別のものに生まれ変わらせる活動をしています。例えばクレヨン。コスメのきれいな色をそのまま活かしており、ふつうのクレヨンにはない色みが特徴とくちょうです。キラキラしたラメが入っていることもあるんですよ。

コスメには、使うことで気分が上向き、元気になるなど、心を変える力があると思っています。一方で、コスメを約9わりの人が使い切れていないというデータがあります。コスメがゴミになるのを少しでも食い止めたいし、せっかくワクワクして買ったコスメをすてる時の罪悪感をなくしたい。そんな想いで、取り組んでいます。

クレヨンを使ってくれるのは子どもだけではなく、手にしたことを機に15年ぶりに絵をかき出したという大人もいます。おたん生日などのプレゼントに選んでくださる方も多く、介護施設かいごしせつにいるお母さんにおくったという人もいました。
大澤さんが立ち上げたプロジェクト「COSME no IPPO (コスメノイッポ)」では、カラーコスメから生まれたクレヨンを「ハロヨン」という名前で販売(はんばい)。1箱5色入りで、一箱ずつ入っている色がちがう。どんな色かは開けてみてのお楽しみ。
大澤さんが立ち上げたプロジェクト「COSME no IPPO (コスメノイッポ)」では、カラーコスメから生まれたクレヨンを「ハロヨン」という名前で販売はんばい。1箱5色入りで、一箱ずつ入っている色がちがう。どんな色かは開けてみてのお楽しみ。
ゴミになる巻(まき)紙はつけおらず、持ちやすくかきやすい形も特徴。これからちがう形のクレヨンや別の製品も登場する予定だ。
ゴミになるまき紙はつけておらず、持ちやすくかきやすい形も特徴。これからちがう形のクレヨンや別の製品も登場する予定だが、ゴミをなるべく出さないことにこだわる。
回収したコスメ。いろどり豊かな口紅、アイシャドウなどのカラーがそのままクレヨンになる。デパートなどで行う回収イベントに持ってきてもらうか、インスタグラムでやり取りした後に送ってもらう他、メーカーなどからも回収している。
回収したコスメ。いろどり豊かな口紅、アイシャドウなどのカラーがそのままクレヨンになる。デパートなどで行う回収イベントに持ってきてもらうか、インスタグラムでやり取りした後に送ってもらう他、メーカーなどからも回収している。
目元をいろどるアイシャドウをはじめ、細かいラメが入っていたり、少しくすんだカラーだったり、繊細(せんさい)な色合いはコスメならでは。容器から中身を取り出してクレヨンに加工し、容器もリサイクルへ。
目元をいろどるアイシャドウをはじめ、細かいラメが入っていたり、少しくすんだカラーだったり、繊細せんさいな色合いはコスメならでは。容器から中身を取り出してクレヨンに加工し、容器もリサイクルへ。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
環境かんきょうや社会のことを、本当の意味で自分ごととして考えるようになったのは、子どもが生まれてからです。地球をよい状態で残す、希望を持てる未来を作るために、わたしにできることを真剣しんけんにさがし、たどり着いたのが、仕事でも長くかかわってきた、大好きなコスメを活かすことでした。

クレヨンを選んだのは、カラーコスメの色を活かせるし、子どもたちの手にとどくから。楽しくお絵かきしながら、選ぶものについて親子で話す機会にしてほしいという願いもこめています。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
一番苦労したのはカラーコスメからクレヨンを作ってくれる工場をさがすことでした。何けんもさがしては断られる中で、あきらめかけた時にやっと今の製造元に行き着きました。代表の方にもお子さんがいらっしゃることもあり、想いに共感していただけました。

感動は日々あります。インスタグラムをかいして直接コスメを送ってもらうこともあるのですが、ほとんどの方がお手紙をそえて送ってくださいます。「ステキな活動ですね」「気づきがあり、前より環境のことを考えるようになりました」「自分に子どもが生まれたらハロヨンで絵をかかせてみたい」といった言葉の数々に勇気がわいてきます。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
わたしはふた子で、小さいころは内弁慶うちべんけいで引っこみ思案じあんでした。それが、小学生になって色々なことに挑戦ちょうせんするうち、徐々じょじょに積極的な子になっていきました。ピアノをがんばっていて、絵をかくこと、本を読むこと、スキーをすることが好きでした。

お菓子で好きだったのはビスケットやミルクキャラメル。今も好きですよ。

遊びではお化粧ごっこをよくしていて、母の大事な口紅を折ってしまったことも。ずっとコスメが好きで、仕事でかかわりたいというあこがれもありました。
Q5.
未来の大人たちへ
子どもの時、「こうなったらいいな」と思うことがたくさんありました。みなさんもそうですか? その気持ちをいつまでもわすれずにいてほしいです。そして、大きくなった時に夢に向かって一歩ふみ出してほしいです。すると新しい世界がきっと見えてきます。

自分にはできないかもと考える前に、行動してみてくださいね。

一人ひとりのその積み重ねが、よりよい未来につながっていくと思います。
プロフィール
東京都生まれ。大学卒業後、会社や商品の魅力みりょくを伝えるPR(広報)の仕事につく。いそがしさからぎっくりごしになったことをきっかけに生活習慣や食べもの、コスメなどの日常生活で選ぶものを見直し、オーガニックコスメ※の会社へ。2018年に独立し、2021年秋に「コスメノイッポ」をスタートした。

※農薬や化学肥料を使わない有機栽培さいばいの植物などを原料にした化粧品
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