環境設備エンジニア
蒔田 智則さん
環境設備エンジニア
蒔田 智則さん
未来に残す建物をつくる
「空気のデザイナー」
日本ではあまり聞かないけれど、
「空気のデザイナー」ともよばれる仕事で、
現在住んでいるデンマークを中心に、
建築家といっしょに
人と地球にやさしい建物をつくっているよ。
人間は、大人でだいたい1日に食べ物を1kg、水を2Lとると
言われますが、空気は、なんと20kgすうと言われています。
その空気を中心に建物を居心地よくし、使うエネルギーを
少なくするため、温度や湿度、風、光などについて
建物のデザイナーといっしょに考えるのがぼくの仕事。
空気のきれいなところで、ごはんやお菓子を食べると
おいしいでしょう? 簡単にいうと、
自然のチカラをうまく取り入れて、“おいしい空気”を
つくる仕事をしています。
大きなきっかけは2011年の東日本大震災でした。
その時は東京にいました。
ものすごいゆれ、そして津波、原発事故を経験し、
エネルギーやその使い方をもっと考えていかなくては
と思ったのです。
その後、デンマークでサステナブルな建築を学び直しました。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
空気は見えないものなので、デザインするのは
いつも苦労します。
でも、その分、感動もたくさんあります。
なかでも今、三重県いなべ市で、県とデンマークが協力して
つくっている「Hygge Circles UGAKEI」の仕事は格別。
豊かな森のなかで心地よくテントをはったり、キャビンで
ゆったり過ごしたりすることで、おとずれてくれた人たち
みんなが幸せになれるような場所をつくっています。
SDGsの考え方もたくさん取り入れているので、
ここでSDGsを体感してもらって、それをふだんの生活にも
持ち帰ってもらえたらうれしいな。
こうした素敵な場所を、日本人とデンマーク人が
協力しながらつくっていることにも、
大きな意味があると感じています。
活発、わんぱくでした。家の前に広がっていた雑木林で
ひみつ基地をつくったり、探検ごっこをしたり。
走り回って遊び、すくすく育ちました。
また、「インディー・ジョーンズ」や「ゴーストバスターズ」、
「スター・ウォーズ」といった海外の映画が好きで、
ワクワクしながら観ていました。
勉強は、計算が得意で、算数は好きでした。
おかしは「チョコボール」のキャラメル味が好きでした。
おいしかったなぁ……。
環境を大事にする意識が高いデンマークでは、移動は
自転車が中心。今いるコペンハーゲンは運河が
きれいになって泳ぐこともでき、近くにゴミ処理場の屋根を
使ったスキー場ができるなど、楽しい遊びも増えています。
サステナブルのことを考えて行動すると、環境にいいだけ
じゃなくて、もっと生活が楽しくなるんです。
未来の街はもっと便利で快適になるでしょう。
でも、対話は大切にしましょう。なにか問題が起きた時、
1人よりもみんなで取り組み、対話をすることで
いいアイデアが生まれるからです。そうしてみんながつながり、
国をこえていっしょに問題を解決すれば、
世界はもっとよくなるでしょう。
プロフィール
大学卒業後、建材商社でドイツ製の建築材料をあつかう仕事をへてロンドンへ。大学院で歴史的建造物の保存や改修を学んで現地で働き、デンマーク人と結婚。2年ほど日本で仕事をし、子どもが生まれるのを機にデンマークへ。大学院で建築工学を学びなおし、2017年から環境設備のコンサルタントなどで働き、サステナブル、エネルギーデザインの視点からさまざまな建築プロジェクトに加わる。
Instagram : makita_engineering