サステナブルなお仕事No.30

パラブラ代表

山上庄子やまがみ しょうこさん


パラブラ代表

山上庄子やまがみ しょうこさん

あの人気アニメも
バリアフリー化!
だれでも映画えいが
楽しめるように
バリアフリーとは、社会で生活するうえでのバリア=障壁しょうへきを取りのぞくこと。山上さんは、耳や目が不自由な人も映画を楽しめるようにするため、映像えいぞうのバリアフリー化に取り組んでいるんだ。例えばみんながきっと好きなあのアニメも! だけど、一体どうやって???
Q1.
どんなお仕事クエッ?
映画のバリアフリー字幕じまくやバリアフリー音声ガイドなどを作っています。

バリアフリー字幕とは、耳の聞こえない人や聞こえにくい人に向け、登場人物のセリフに加え、セリフを話す人がだれなのか、どういう音や音楽が流れているのか、なども文字で表すもの。

バリアフリー音声ガイドは、目の見えない人や見えにくい人に向け、どんな場面なのか、登場人物の動きや表情などを読み上げるものです。

「名探偵たんていコナン」「ドラえもん」「鬼滅きめつやいば」など、みなさんも知っているアニメ映画の音声ガイドも作っているんですよ。でも、まだ数は少ないのが現状。バリアフリーが特別ではなく当たり前になり、だれでも好きな映画を自由に選んで観られるようにすることを目指しています。

手がけているのは主に映画ですが、最近はげきなども増えています。また、字幕や音声ガイドを使うためのアプリの開発・運営、対応作品の情報を発信するなど、はば広いサポートを行っています。
バリアフリー音声ガイドを使った上映(じょうえい)会の後、映画を観た人たちと交流する山上さん。会社名の「Palabra(パラブラ)」はスペイン語で「言葉」。字幕や音声ガイドを使う人の声、映画を作った人の声の両方を大切にし、言葉を選んでいる。
バリアフリー音声ガイドを使った上映じょうえい会の後、映画を観た人たちと交流する山上さん。会社名の「Palabra(パラブラ)」はスペイン語で「言葉」。字幕や音声ガイドを使う人の声、映画を作った人の声の両方を大切にし、言葉を選んでいる。
スマホやタブレットで字幕を見たり、音声ガイドを聞けたり、対応作品をさがしたりできるアプリ「UD Cast(ユーディキャスト)」は、ドラマ「silent(サイレント)」にも登場して注目された。
スマホやタブレットで字幕を見たり、音声ガイドを聞けたり、対応作品をさがしたりできるアプリ「UD Cast(ユーディキャスト)」は、ドラマ「silent(サイレント)」にも登場して注目された。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
農業や植物に興味があったので、農業大学に進み、卒業後は沖縄でマングローブという植物に関わる仕事をしていました。ただ、東京へ帰ることになり、マングローブの仕事は続けられなくなりました。

新しい仕事をするなら映画に関わりたいと考えました。両親が映画を作る仕事をしていたので、子どものころから映画はとても身近なものだったのです。そこで出会ったのが、この仕事。映画を観ることにかべがある人がいると知り、その壁をなくせればもっとたくさんの人に大好きな映画を観てもらえると思いました。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
字幕や音声ガイドを作る時に大切にしているのは、使う人にとってのわかりやすさだけでなく、映画を作った人が作品を通して伝えたいことを伝えられること。だから監督かんとくに「このシーンで一番伝えたかったのは何ですか」と確かめながら、コツコツ作っていきます。何十回と観て、どう言い表すかを慎重しんちょうに考えます。時間も限られているので大変ですが、それは楽しい苦労。

本当に大変なのは、バリアフリーの必要性を社会に浸透しんとうさせるため、大勢の人に関心を持ってもらうことです。でも、少しずつ前に進んでいます。

感動するのは、耳や目にしょうがいがある人と作品の内容について深く話せた時。なぜなら、障がいのあるなしに関係なく作品を楽しみ、感想を言い合えるようにするという目的がかなえられたということだからです。

完成前に、障がいのある人たちと、監督や制作の責任者であるプロデューサーなどといっしょにプレビューするモニター検討けんとう会を開くのですが、そこで自然に映画の感想が出てくると「成功!」とうれしくなります。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
人見知りな子で、一人で絵本を読んだり、絵をいたりしていることが多かったですね。でも、近くの山でタケノコほりや虫とりをするなど、外でもよく遊んでいました。

おやつは母の手作りが多かったのですが、おこづかいでチョコボールなどのお菓子も買っていて、一番お気に入りだったのはミルクキャラメルです。

映画はしょっちゅう観ていたし、作るのも近くで見ていて、まさに生活の一部でした。

中学生になってからは休みの度に、知人がいる山形県まで通い、農業のお手伝いをしていました。自分たちが食べるものを自分たちで作る姿すがたにあこがれ、農業や植物への関心を深めていきました。
Q5.
未来の大人たちへ
みなさんもアニメなど好きな作品があるのでは? 映画や劇などの文化芸術を、だれでも自由に楽しめるようになってほしいと願っています。

社会の中には多様な人がいます。将来しょうらいどんな仕事についても、その視点してんを持って考えること、行動することをどうか忘れないで。多様な人がくらしやすい、みんなが生きやすい社会をいっしょに作っていきましょう。
プロフィール
神奈川県生まれ。中学生の時から山形県・高畠たかはたに通って農業に親しみ、東京農業大学を卒業後、沖縄でマングローブの研究員として7年活躍かつやく。2011年に東京へ移り、映画・映像のバリアフリー化に取り組むパラブラの立ち上げにたずさわる。字幕制作などを担当たんとう後、2017年から代表。
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