サステナブルなお仕事No.43

energy closet(エナジークローゼット)代表

三和みわ沙友里さゆりさん

energy closet(エナジークローゼット)代表

三和みわ沙友里さゆりさん

服を売らない服屋さん
お店で古着を「物々交換こうかん
お洋服が大好きな沙友里さんは、ちょっと変わったお店を始めたよ。服屋さんだけど服を売らない服屋さん。みんなにもっと服を大切にしてほしくて考えた仕組みなんだって!
Q1.
どんなお仕事クエッ?
服を売るのではなく、交換するお店を開いています。仕組みはこうです。お客さまは着なくなった服をお店に3着持ってきます。お店はこの3着をゆずってもらい、その代わりに、お客さまはお店にならんでいる服からほしいと思った3着を持って帰ることができます。「いらない服」と「ほしい服」を 交換することで、服を循環じゅんかんさせ、てられる服をらしています。交換なので服には値段ねだんがなく、お店はお客さまから3,300円の入場料をもらって運営しています。

さい利用をくり返すこと

お客さまがお店に持ってくる服は、やぶれていたり、よごれていたりしていても大丈夫だいじょうぶです。それをおしゃれとして楽しむ人もいるからです。そのままでは着るのがむずかしい服も、新しい服に作り直したり、ワッペンやアクセサリーに再生したりして、お客さまからあずかった服は1まいも捨てないと決めています。交換する服の数を3着にしたのにも理由があります。お客さまがお店から持って帰る服を選ぶ時に、3着目はいつもとはちがう服やデザインに挑戦ちょうせんしてほしいと思ったからです。大事にしているのは、服やファッションを楽しんでもらうこと。楽しむことで、もっと服を大切にしてもらえると考えています。また、4着以上だと重たいし荷物も多くなります。気軽にお店に来ていただきたくて、3着にしました。
毎月最初の日曜日に東京・渋谷(しぶや)で、「CLOSET to CLOSET(クローゼット・トゥー・クローゼット)」というお店を開いている。お客さまは10代から70代まで幅(はば)広い。
毎月最初の日曜日に東京・渋谷しぶやで、「CLOSET to CLOSET(クローゼット・トゥー・クローゼット)」というお店を開いている。お客さまは10代から70代まではば広い。
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
小さいころから洋服が好きでファッションに興味きょうみがありました。大学生になって自分のお金で服を買うようになって、大量に作られた服が売れずに捨てられている現状げんじょうを知り、好きな服が大切にされていないことにショックを受けました。地球環境かんきょうにも良くありません。私は“くたくた”に着古きふるした服が好きなのですが、そういう服を売っている店が少ないのも気になっていました。大好きな服たちと、それを大切にしてくれる人が出会える場があればいいな。そう思ったことが、お店を開いたきっかけです。

一着の服を長く着ることも大事ですよね。でも、その日の気分で服は変えたいし、新しいファッションに挑戦することは楽しい。服を大切にすることと、服を楽しむことを両立する仕組みだと思っています。捨てられる服がり、お客さまのクローゼットがお気に入りの服で満たされてくれればうれしいです。
沙友里さんは店長として店に出て、着こなしの相談にものる。これまで循環させた服は合わせて2トンを超えるという。
沙友里さんは店長として店に出て、着こなしの相談にものる。これまで循環させた服は合わせて2トンを超えるという。
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
最初は、やっていることがどういうものか分かってもらえず苦労しました。「交換するのにお金をはらうの?」とも言われました。ホームページやブログなどで発信し、図で説明したり、動画を作ったり、写真を多くのせるなど、工夫して伝えるうちに、共感してくれる人が少しずつ集まっていきました。

あるお客さまが、持ってきた服を預けようと、お店に来た時のことでした。いっしょに来ていた友だちから「え! その服すごく気に入っていたのに、預けちゃうの?」と聞かれ、「ここはお洋服をだれかにとどける場所だから、自分の一番のお気に入りを持ってきた」と答えていたのです。はっとしました。お店がお客さまにとって、私の思っていた以上の場所になっていること、より大きな意味を持っていることに気づき、むねを打たれました。
やぶれや汚れが大きい服は、ワッペンやアクセサリーに作り替える。
やぶれや汚れが大きい服は、ワッペンやアクセサリーに作り替える。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
これはだれがどうやって作ったの? 捨てたゴミはどうなるの? そんなふうに考えるのが、小さいころからのクセでした。また、お姉ちゃんキャラで、グループのリーダーや人前に立つことを積極的にやる方でした。おしゃれな店が多い東京の原宿へ時々連れていってもらうのが楽しみで、がんばってお小づかいをためていました。勉強で得意とくいだったのは算数や、理科、音楽です。何かを作る図工や手芸が好きでした。苦手だったのは漢字や英単語、歴史れきしなど、暗記するもの。お菓子はハイチュウが好きでしたね。
Q5.
未来の大人たちへ
服は、完成するまでたくさんの人が関わっています。そこに目を向けてほしいです。情報じょうほうが手に入りやすく、世界のうらのことまで知ることができる時代です。関心を持って調べて、知ってください。少しずつでもそれができたら、ものを大切に使えるようになり、サステナブルな地球や社会につながると思います。
プロフィール
千葉県生まれ。日本大学理工学部卒業。学生時代から、アルバイト先のカフェで食品ロスの問題に取り組むなど、社会問題に関する活動をした。卒業後、半年ほどは会社につとめながら準備じゅんびを進め、2019年に独立どくりつ。『エナジー・クローゼット』 を立ち上げた。
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