サステナブルなお仕事No.6

学生起業家きぎょうか

大久保おおくぼ夏斗なつとさん

学生起業家きぎょうか

大久保おおくぼ夏斗なつとさん

大久保夏斗さん
きれいな海でカメが
泳げるように
「草ストロー」で小さなエコ
世界の農業について学ぶ大学生。
勉強も
がんばりながら会社を作り、草を使った
ストローを広めているよ。
人間が
使いすてにしたプラスチックのストローは、
ごみになって海の生き物をキズつける
こともあるんだ。
Q1.
どんなお仕事クエッ?
ベトナムから草ストローを輸入ゆにゅうし、日本国内の飲食店などに販売はんばいしています。草ストローは、レピロニアという植物のくきをカットしてかわかしたもの。昔からカバンやカゴなど色々なものを作るのに使われていましたが、ストローにも使われるようになりました。植物なので、使い終わった後は自然にもどります。

プラスチックは分解されにくく半永久的に残るので、きちんと処理しょりされず、海に流出するそのごみが大きな問題になっています。生き物がまちがえて食べたり、くだけて5mm以下の「マイクロプラスチック」になったものが海底や生き物の体にたまったりしてしまいます。

そこで、プラスチックストローのかわりに、海にもやさしい草ストローを使う選択肢を設けたいと思ったのです。草ストローは水分をすうと強くなり、使い心地もよくなります。ふやけやすい紙ストローとの大きな違いです。また、くすりを使わず、清潔な場所で作っているので、安心して使えます。
草ストロー
レピオニアの茎
Q2.
なぜ、そのお仕事を選んだクエッ?
海ガメの鼻にプラスチックのストローがささった動画をSNSで見て、衝撃しょうげきを受けたのが最初のきっかけ。高校生になるころでした。色々調べ、環境かんきょう問題に対して何かしたいと考えていました。大学に進学したころ、よく海外へバックパッカー(お金をかけずに個人で旅する人)として行っていた兄から草ストローのことを聞き、「これだ!」と思いました。兄に教えてくれたのは、飛行機でとなりにすわったベトナム人の男性。私は、3つ上の兄と、現地にいるそのベトナム人のかれと3人で、このプロジェクトを始めました。
レピオニア
Q3.
仕事で苦労したこと、感動したことは何クエッ?
何の知識もなかったので、やってみては失敗しました。商品がとどいた港で思わぬ税金がかかり、コンビニのATMへ走ったことも。コロナの時期と重なったのでお店への営業はメールや電話。これまでの約1年間で1000通はメールしましたが、ねだんが高いこともあってかんたんではなく、なぜこれを使うといいのかを伝える努力をしました。

今は草ストローを使ってくれるお店が150店ほどに広がり、「こんなものをさがしていた」「お客さんとのコミュニケーションが深まるきっかけになった」といった声がはげみになっています。
Q4.
どんな子どもだったクエッ?
家の前の公園で、オニごっこなどをして走り回っていました。うちはゲームをあまりやらせてもらえなかったんです。元気で行動的で、学校の行事でも自分から動く方でした。

小学校から高校までサッカーをやっていて、負けずぎらいでもありました。勉強もきらいではなく、特に好きだったのは理科。自由研究で虫について調べるなど、自然が好きでした。お菓子はポテトチップスとかを食べていました。あまいものはあまり食べなかったけどチョコボールは別で、金のエンゼルや集めた銀のエンゼルを送り、おもちゃのカンヅメももらいました。
Q5.
未来の大人たちへ
サステナブルにつながることを、「やらないとダメ」というのではなく、「ちょっとやってみよう」というように、気軽に取り入れてほしいです。ムリをしないのが大切です。

一人だけがいっぱいやるより、一人ひとりがちょっとずつやるのが理想的。今の行動の影響えいきょうが出るのはずっと先です。少しずつでもみんなが未来を考えて行動したら、今の子どもたちの子どもが大人になった時、安心してくらせる世界になっていると思います。
プロフィール
東京農業大学国際農業開発学科に入学後、フィリピンでボランティアに参加。スペインやメキシコをバックパッカーで旅した。2年生になった2020年春、草ストローのブランドと会社「HAYAMIハヤミ」を立ち上げ、CEO(最高経営けいえい責任者せきにんしゃ)になった。2021年3月、メキシコのサボテンからできたヴィーガンレザー(植物を原料にした合成皮革ひかく)の財布の販売もスタート。