甘いココアでお口の健康は?

口腔内環境と健康

近年では、口腔内環境を整えるオーラルケアがお口の健康だけでなく、カラダの健康を保つためにも重要であるという報告が多く発表されています。
中でも、生活習慣病の一つである歯周病が糖尿病や心臓・循環器疾患などに関わっていることが明らかになってきています。
つまり、歯周病を予防して口腔内環境を整えるようにすることが、身体全体の健康維持につながるのです。

歯周病が脳梗塞・心筋梗塞・早産・糖尿病・動脈硬化などに関わっている図

歯周病とは

歯周病とは、歯と歯ぐき(歯肉)のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯ぐきに炎症を引き起こして、さらに歯を支える骨を溶かしてグラグラにさせてしまう病気です。
歯周病は痛みが出ないことの方が多いのですが、気づかないうちに進行して歯ぐきからの出血などが起こった後、歯が自然に抜け落ちるほど重症になることもあります。歯を失う80%以上の原因は歯周病もしくはむし歯によるものです。

厚生労働省が3年ごとに実施している「患者調査」(平成26年調査)によると、歯肉炎および歯周疾患の患者数は331万5,000人で、歯周病の有病率は20歳代で約7割、30~50歳代は約8割、60歳代になると約9割でした。

60歳代約9割が歯周病!

また、日本人の歯周疾患は近年やや減少していて、欧米などの諸外国と比較するとやや良好な状態でしたが、高齢者では半数以上が歯周ポケットを持っていて、歯周病の自覚症状を訴える人の割合も高く、歯周病の有病率もたいへん高くなっています。
健康で長生きするために重要視されているのが「歯の健康」。対策としては毎日自分でしっかりセルフケアすることが大切です。

ココアと歯周病関連菌について

歯周病を引き起こす代表的な細菌(歯周病原菌)としては、ジンジバリス菌、フゾバクテリウム菌、インターメディア菌の3つがあります。
これらを試験管内で培養してココアによる抗菌効果を調べてみました。

《実験結果》

ココアと歯周病関連についてのグラフ

無添加、1%、3%と濃度の違うココアを添加してみたところ、3種の歯周病原菌ともにココアの添加量が多いほど生菌数が減少していました。 特に、ジンジバリス菌、フゾバクテリウム菌は培養時間が経過していくと検出限界以下まで減り、高い抗菌効果があると認められました。 通常飲まれているココアの濃度は約3.5%ですから、1杯のココアでもこれらの歯周病原因菌に対する抗菌効果が期待されます。 さらに詳しい研究では、これらはココアに含まれるポリフェノールによるものではないかと推測されています。

出典:日本口腔感染症学会誌(2016年)

歯周病対策について

歯周病感染の要因となり得る以下に心当たりがある場合、ココアを積極的に摂りましょう。

・歯のかみ合わせが悪い
・家族が歯周病をもっている
・寝不足、疲れによる唾液の減少
・夏バテなどによる免疫力低下
・日常的な喫煙

いろいろな飲み方でココアを楽しみましょう。

口臭について

口腔内環境のトラブルとして、口臭があります。そのほとんどが舌苔と歯周病で、何らかの全身性疾患による口臭もありますが、極めて限定的であるとされています。

主な原因の一つである舌苔は、体調が芳しくない時などに舌の表面に付着する白っぽいもので細菌の固まってできたものです。これは舌磨きなどで舌を清潔にすると口臭も少なくなります。

口臭の多くが舌苔によるものとされていますが、次に挙げられるのが歯周病によるものです。
口臭では、口あるいは鼻から出てくる気体のにおいと強度が問題にされますが、その主要原因物質として揮発性の硫黄化合物である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイトがあります。中でも歯周病患者さんからは、メチルメルカプタンが高濃度で検出されるようです。

口臭は自分では気づきにくい一方で、気にする人も多いというのが特徴です。口臭が強いということは、口腔内環境が乱れているという目印にもなります。
虫歯や歯周病のリスクも高くなると、口腔内環境の悪化による生活習慣病への影響も懸念されますので、口腔ケアを十分に心がけることが大切です。

ココアと口臭について

ここでは、口臭がある程度強い方を被験者としてココアを飲む試験を行いました。

《実験結果》

ココアと口臭についてのグラフ

ココアを飲用する前後2週間で呼気に含まれる口臭原因成分の3つの揮発性硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイド)の濃度を測定したところ、飲み始めと比較して飲んでいた2週間は3種の揮発性硫黄化合物の濃度は低下しました。また、ココアの摂取を中止すると、1週間で元の濃度に戻ることも確認されました。
このように、ココアを飲むことは歯周病の予防が期待されるだけでなく、口臭を低減する効果があることがわかりました。

出典:日本口腔感染症学会誌(2016年)

歯周病などによる口臭の予防について

歯周病や歯周病などによる口臭の予防として、次のようなことを気をつけましょう。

自分に合った歯ブラシ選び・歯科医による定期検診・正しい歯みがき・ブラッシング

歯のケアだけでなく、食生活などの生活習慣にも気をつけましょう。
そして、くつろぎの一杯はココアで。