医師と考える食育
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大切なのは、運動とたんぱく質②
筋肉を効率よく増やすためには運動とともに栄養が重要です。どんな栄養をどのようにとればよいか、順天堂大学医学部特任教授の齋田良知先生にお聞きしました!
齋田 良知 先生
(順天堂大学医学部医学研究科スポーツ医学・再生医療講座 特任教授)
順天堂大学医学部整形外科学講座に籍を置きつつ、スポーツ医学を専門とし、全国でも珍しい社会人サッカークラブ併設のクリニックを開院。
自身もサッカー経験があり、女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)のチームドクターを務めるなど、トップアスリートの健康とパフォーマンスを支えるスポーツドクターとして活躍中。
筋肉の材料はたんぱく質
筋肉がつくられるときに材料になるのがたんぱく質です。
私がたんぱく質を摂るときに気をつけているのは、肉と魚のバランスです。肉とひと口に言っても、牛肉と豚肉、鶏肉でも肉の部位によっても含まれるたんぱく質や脂質の量が異なります。また、肉にはたんぱく質以外のビタミンBや鉄も含まれています。
いっぽう、魚にはEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸も含まれ、抗炎症効果や血の巡りをよくする効果があります。どちらかだけではなく、肉と魚をバランスよくとるように気をつけています。
筋肉を維持するためには、成人で1日に体重1kgあたりたんぱく質1gを目安にとるようにします。筋肉を増やす必要がある人は、その摂取量では足らず、体重1kgあたり1.2~1.5gのたんぱく質が必要です。体重50kgなら、1日に60~75gのたんぱく質をとるようにしましょう。※1
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腎臓が悪い場合は、たんぱく質の摂取に制限が必要なことがありますので、医師と相談してください。
筋トレとたんぱく質はセットで
筋肉は負荷をかけて運動することで太く大きくなります。効果的に筋肉を増やすには、なんといっても筋トレがおすすめです。筋肉を酷使することで、筋肉繊維が活性化され、合成が進みます。ただし、分解も常に起きているため、たんぱく質が補給されないと筋肉がうまく育ちません。
そのため、運動の前後は意識的にたんぱく質をとることが大切なのです。
筋肉は寝ている間に減る!? 朝食抜きは要注意!
たんぱく質は筋肉をつくる以外にも、臓器や免疫機能、酵素、ホルモンなどの材料として、またエネルギーとしても使われます。からだの機能を維持するため常に必要な栄養素ですが、寝ている間には補給されません。
すると、からだは筋肉を分解してたんぱく質(アミノ酸)を確保しようとするので、寝ている間に、筋肉の分解が進み、筋肉量が減ってしまう可能性があるのです。
そこで、大切なのが「朝食でたんぱく質をとること」。
筋肉の材料となるたんぱく質を朝食でしっかりとり、筋肉の分解から合成へと、スイッチを切り替えるようにしましょう。
たんぱく質は1日に50~65gほど必要といわれていますが、血中の余分なアミノ酸は排出されてしまうので、一気にとっても意味がありません。毎食20gを目安に3食でとることも大切です。
★たんぱく質は1日50〜65gをとろう
たんぱく質の多い食材は肉や魚のほか、卵、大豆製品、乳製品です。間食(おやつ)でとるなら、ヨーグルト、チーズ、魚肉ソーセージ、サラダチキン、ちくわ、プロテイン入りゼリー飲料、プロテインバーなどが手軽にたんぱく質を補給できておすすめです。
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朝食 21.3g
- トースト(6枚切)1枚 5.6g
- 目玉焼き(1個) 6.7g
- ブロッコリーとミニトマトのサラダ 1.8g
- 牛乳(200ml) 6.8g
- キウイ1/2個 0.4g
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昼食 23.8g
- ごはん150g 3.8g
- 鶏の照り焼き1枚 18.3g
- ニンジンしりしり 0.2g
- レタス小3枚 0.2g
- インゲンの炒めもの30g 0.4g
- もずくスープ 0.9g
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夕食 20.9g
- ごはん150g 3.8g
- 焼き鮭80g 15g
- 大根おろし30g 0.1g
- 小松菜のお浸し 1.9g
- リンゴ 1/4個 0.1g
★間食におすすめ
- ヨーグルト無糖(100g)4g
- プロセスチーズ1個(18g)4g
- 魚肉ソーセージ1本(70g)8g
- サラダチキン(100g)約21g
- ちくわ1本(30g)3.6g
- プロテイン入りゼリー飲料(180g)5.1g
- プロテインバー1本(44g)15g