「お菓子の記憶」記事一覧

お菓子の記憶

留守番のさみしさを
埋めてくれたおっとっと

私の家は母子家庭だったので、遅く帰宅するのはいつも母のほうでした。夕飯までの時間が長く、機嫌を損ねる私に、母はお菓子をたくさん用意しておいてくれました。当時幼かった私は気づかなかったけれど、今思い返すと森永製菓のお菓子があふれていた気がします。

なかでも、いちばん記憶に残っているのは「おっとっと」。いろんな形がたくさんあって、一つひとつ違うので、戦わせたり、同じ形同士で集めたり、パズルのように組み合わせたり……。いちばん時間をかけて食べることができたので、「おっとっと」を食べているとあっという間に母の帰ってくる時間になりました。母のために、私がいちばん好きだったウニの形を取っておいたりも。子どもって不思議ですね。何もなければさみしいだけの当時の小さな頃の思い出が、楽しく素敵な記憶として残っています。