人権の尊重
基本的な考え方
森永製菓グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際的な枠組みと規範を尊重し、自社およびバリューチェーン上におけるステークホルダーの人権の尊重に取り組んでいます。
2022年4月には国連グローバル・コンパクトに署名し、その原則を人権マネジメントの指針として活かしています。
森永製菓グループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする人権に関する国際的な原則等に則り、人権方針を定期的に見直しながら、人権デュー・デリジェンスに取り組み、従業員に対しては各種研修等による啓発を行っています。2023年に改定した「森永製菓グループ人権方針」では、差別・ハラスメント・児童労働・強制労働・人身取引の排除に加え、生活賃金を満たす賃金の実現に努めること、採用と処遇におけるジェンダーをはじめとする差別の排除、子どもに負の影響を及ぼす広告を実施しないこと等を明示しています。
また、「ビジネスと人権」に関する通報を、海外を含む社内外から受け付ける苦情処理メカニズムを整備しています。
人権マネジメント体制
当社グループは、「森永製菓グループ行動憲章・行動規準」「森永製菓グループ人権方針」および「森永製菓グループサプライヤーガイドライン」を定めています。これらが示す人権に対する考え方については、役員・従業員を対象とした人権研修・コンプライアンス研修、またサプライヤー様を対象とした説明会等を通して、浸透を図っています。当社グループ内で懸念が生じた場合や匿名での通報が可能なヘルプラインに情報が届いた場合は、コンプライアンス委員会へ報告し、また社外で発生した場合や外部通報窓口であるJaCER「対話救済プラットフォーム」に情報が届いた場合は、サステナブル経営推進部と人権分科会が情報を取りまとめてESG委員会に報告します。万が一、人権の尊重を損なう懸念が生じた場合は、下図に示すコンプライアンス委員会とESG委員会にて対応を議論のうえ、両委員会からこれらの報告・答申を受けた取締役会が監督・指示を行う体制を構築しています。また、2023年度にはESG委員会の分科会として「人権分科会」を設置し、人権課題の生じる可能性や顕在化した際の対応等、人権に関する取り組みを推進しています。
人権デュー・デリジェンス
負の影響の評価実施
人権デューディリジェンスの取り組みとして、当社グループの事業が及ぼす人権への負の影響について机上評価を実施しました。現時点では、当社グループの内外での製造過程において、労働安全衛生や外国人労働者の権利への配慮等がこれまで以上に求められていることや、原材料においては、カカオ生産地での児童労働以外にも賃金や労働時間に関連した様々な課題が潜在することを、改めて認識しました。この評価結果の検証を進めながら、引き続き具体的な負の影響の特定に取り組んでいきます。
コンプライアンスアンケートによるハラスメント状況把握
森永製菓グループでは、毎年12月に、国内グループ会社で働く全従業員を対象にコンプライアンスアンケートを実施(2022年12月実施のアンケート回答者数:3,730名)し、当社グループのコンプライアンス状況を定点的に把握することに努めています。中でもハラスメント行為は特に重要な項目として、直接ハラスメント行為を受けたか、またハラスメント行為を見聞きしたかをそれぞれ過去1年間について及び過去全体にわたり、それぞれ区分して集計し、当社のコンプライアンスの状況を詳細に調査しています。
また、職場でのコンプライアンスを重視する風土や、会社のコンプライアンス経営への取り組み度合いをどう受け取っているか等も項目に含め、コンプライアンス意識の状況を確認しています。アンケート結果のサマリーはアンケート回答者全員にフィードバックし、当社グループの状況を共有しています。
- コンプライアンスアンケートの設問例
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- あなたは、(パワー/セクシュアル)ハラスメント行為を受けたことがありますか 。
- あなたの職場では、コンプライアンスに限らず業務上の疑問があれば、上司や同僚に相談、確認していますか、あるいはできる雰囲気(環境)ですか。
さらに、この結果をもとに各事業所へのヒアリングや意見交換、コンプライアンスに関わる問題解決のための対策立案を行い、風土改善に向けて、積極的な活動を行っています。
救済への取り組み
社内の通報窓口
ヘルプライン
社内における贈収賄を含む腐敗等の不正行為やハラスメント、差別等の人権に関する事案を含めた様々なコンプライアンス違反関連の通報およびコンプライアンスについての相談が可能な窓口として「ヘルプライン」を設置しております。
ヘルプラインについて、詳しくは下記リンクをご覧ください。
社外の通報窓口
一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)
森永製菓グループは、2022年10月に一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に発足メンバーの一員として参加し、従業員以外の様々なステークホルダーに向けた苦情処理メカニズム(グリーバンスメカニズム)として、外部第三者機関による苦情処理プラットフォームを設置しました。これにより、「国連 ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な「対話救済プラットフォーム」を通して苦情を受け付けることで、正当性の担保と苦情処理の実効性・効率性の向上を図り、客観性・透明性を持った対応を行うことを目指しております。なお、通報受付においては、通報者の個人情報の保護、通報者が希望する場合には匿名性と通報内容の秘匿性を確保し、当事者救済に努めます。
従業員への研修
ハラスメント研修
森永製菓グループでは、人権配慮の考え方に基づき、ハラスメントの撲滅をコンプライアンス活動目標に掲げ、コンプライアンス研修においてはパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントに限らず、ハラスメントの啓発・予防を目的とした教育を継続的に実施しています。
森永製菓の全役員を対象とした外部弁護士によるハラスメント研修や、森永製菓の全部門長、事業所長、グループ会社の役員を対象としたハラスメント研修の実施、森永製菓の従業員全員が視聴できる研修動画のウェブ上での公開等、幅広く取り組んでいます。
なお、定期的な研修を通して、ハラスメントに関する通報・伝達を受けた場合にどのように対応するかを、部下を持つ全員が確認しています。
ウェブによるハラスメント研修
ステークホルダーエンゲージメント
当社グループでは、「1チョコ for1スマイル」活動を通じて、カカオ生産国での児童労働ゼロを目指す取り組みやジェンダー平等の啓発活動等を支援しています。これらに取り組むNGOに現地の実情を学びながら将来の取り組みに向けた意見交換を行っています。
またサプライヤーガイドラインに基づくCSR調達アンケートの結果を受け、一部のサプライヤーとの意見交換を行い、サプライチェーン上の人権課題の把握と対応を進めています。