私自身は1チョコ for 1スマイルの支援活動のパートナーであるACE様の活動をクラウドファンディングなどを通して個人的にも支援していました。
10年ほど前に横浜の赤レンガ倉庫で開催された「東京チョコレートサロン」というイベントで『バレンタイン一揆』という映画を見たり、『チョコレートの真実』という書籍を読み、児童労働の問題を更に知る機会を得ながら、フェアトレード等の認証制度についても勉強し、カカオ生産国の理解に努めてきました。
人類は5000年以上前からチョコレートの原料となるカカオを口にしていたと言われています。こんなに長い間、人々を虜にしてきたのは、チョコレートにはポリフェノールなど、健康に役立つ成分が多く、風味にも優れているなど多くの魅力が詰まっているからでしょう。日本でも10数年前から個性あるチョコレートの製品作りに取り組む人が増え盛り上がりを見せています。クラフトチョコレート(Bean to bar chocolate)と呼ばれ、生産国・品種を選択し香りに個性を持たせた商品、またその土地・地域ならではの特産物を加えたりして、風土の特徴をもった商品も生まれています。素材や製法へのこだわりがあり、作り手の想いも乗せたチョコレートは、食べる人の心にも響きます。
私自身も世界中のチョコレートを毎日のように食べ、チョコレート好きな人や作り手の方々と交流し、日々の生活の中で楽しんでいます。またチョコレートの原料になるカカオについても興味をもち、自分でカカオを育てたりもしています。
こんなに多彩な魅力のあるチョコレートの事をもっと多くの人に知っていただき、人生を豊かにしたり心身を健康にしたりすることにも役立てて欲しいと思っています。
こんなに魅力的なチョコレートですが、その裏側では誰かの犠牲の上に作られていたり、様々な課題がある事がチョコレート関係者や書籍、1チョコ for 1スマイルの活動を通して知りました。
カカオ生産者の貧困、高齢化、環境変化への対応、児童労働、病気、農薬、肥料など……。課題について認識はしていたのですが、個人レベルでは具体的なアクションには繋がらず、主にチョコレートの魅力的な部分にフォーカスしてチョコレートを楽しんできました。
その後、アジアや中米のカカオ生産地を訪問する機会があり、実際に現場を見て、カカオ生産地の方々と交流することで、このまま他人事ではいけないと思うようになりました。
少しでもカカオ農家・カカオ産業のサステナビリティ向上に貢献したいという想いから、現在、私個人の活動として、普通は捨てられてしまうカカオの葉を、チョコレート製造以外に使用して、新たな価値を生み出す方法を検討しています。
サステナビリティに関する課題を解決するためには、個人の取り組みだけではなく、このようにビジネスの力で活動の輪を広げていくことが大事だと考えています。
カカオ生産地の歴史やその環境・システムはその土地で異なり、ガーナについても独特な要素があるはずです。サステナビリティに関する課題はその事を知らないと解決に向かえませんし、実際、現地を訪問して分かる事、感じる事も多いでしょう。新たな気づきや、責任感も生まれると思っています。現地を訪問し体験してきたことを皆様にどう伝えるかについても大切ですね。現地で体験したことを多くの人に伝えて、児童労働の問題にさらにしっかりと向き合うことはもちろん、カカオ生産者との信頼関係の構築につながるような取り組みにも発展できるといいなと思っています。
そしてその事が、私のチョコレートを楽しむ活動にも活きてくると信じています。
※掲載内容は、取材当時のものです。
チョコレートソムリエとして、
カカオの未来について
ビスケット・チョコレートの研究開発を担当。マーケティング、新規事業の部署も経験し、現在はコンセプトショップのTAICHIROMORINAGAの商品開発・製造の責任者を務めています。チョコレートやお茶が趣味で、ペアリングなどを楽しむ活動も行っています。
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REPORT01ガーナのカカオ産業を知る
ガーナのカカオ農園を訪問。収穫や乾燥の作業を体験することで、カカオ農業の実態に触れる
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REPORT02ガーナの子どもたちの笑顔に触れる
現地支援先の学校や施設を訪問。子どもたちと教育の現場を共にし、ガーナでも溶けないチョコレートをプレゼント
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REPORT03ガーナの人々と共に未来を考える
支援地の教育を支える教師や大人から児童労働の実態や現状をヒアリング。公的機関に実情を届け、課題を共有
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OTHERロードムービーも公開予定