2009年~2010年
カメルーンでは、カカオや綿花、コーヒー、バナナなどの農産物輸出が経済基盤を支えてきましたが、1980年代後半これら農産物の輸出価格が値下りし、その後約10年間経済危機が続きました。この間、貧困が拡大する一方、政府の教育への支出が減少、初等教育就学率は1995/1996年度には74.7%に落ち込みました。
その後、経済の回復や義務教育の無償化により就学率は回復しましたが、学校施設の整備が停滞していたため、教室の不足や過密化、さらに既存の学校の老朽化が進み、教育環境の悪化が深刻な問題となっています。
このプロジェクトの実施を予定している中央州の農村地域は、カメルーン国内でも学校施設の整備がもっとも遅れている地域のひとつです。
住民の多くは、小規模なカカオ農園を所有し、その収穫から得られるわずかな収入で生計をたてています。
貧しい地域のため、自力で教育環境の整備を行うことは極めて難しく、これまでも各種団体や政府が、教室、井戸、トイレなどの学校建設を進めてきました。
しかし、依然として、耐久材でできた正規の校舎が一つもないコミュニティや、藁や木材で造られた仮校舎すらない学校も存在しています。
この地域では、教師が不足しているため、1校につき教師は3人で、それぞれの教師が1~2年生、3~4年生、5~6年生と2学年を受け持つことも珍しくありません。
このような学習環境の不備は、子どもたちの読み書き計算といった基礎的な学習能力の習得を困難にしているため、学習達成度は都市部と比較して明らかに低い水準に留まっています。
ほとんどの学校が上水道を備えていないため、子どもたちは不衛生な水を飲んで体調を悪くし、学校を欠席しがちです。また、トイレを完備していないため、子どもたちは周りの茂みで用を足してしまい、学習環境が不衛生になる原因となっています。
現在の状況を改善するために、このプロジェクトでは、中央州に位置する4つの小学校において、下記の活動を予定しております。
このプロジェクトの実施により、地域の人口の約4割にあたる4つの小学校に通う子どもたちが直接の恩恵を受けます。学校の教育環境が改善されることにより、学力の向上や就学率、および衛生環境の改善が期待できます。さらに長期的には、より多くの子どもたちが充分な知識を得て成長することにより、地域全体が貧困から少しずつ脱却していくことに貢献します。
このプロジェクトは、住民参加型です。地域の人々は計画立案から、実施、進捗管理、評価などプロジェクトのすべての段階に関わり、プロジェクトを中心となって進める役割を担います。地域の人々が計画段階から参加することによって、プロジェクトが自分達のものであるという意識が強まり、プロジェクト完了後も地域の人々によって学校が効果的に運営され、プロジェクトによる成果が継続していく体制が出来上がります。
また、プロジェクト実施中、プラン・インターナショナルはプロジェクトを管理運営するために必要なノウハウ習得や、保健・医療・教育などの専門的能力向上のトレーニングを、地域の人々に対して行います。