自然資本・生物多様性の維持と保全

基本的な考え方

森永製菓グループでは、環境方針にて生物多様性への理解を深め、生物多様性の維持・保全と生態系の保護に努めることを明示しています。企業活動における自然資本への依存や影響を理解し、維持・保全に向けて取り組みます。

項目 内容
ガバナンス

当社グループのサステナビリティに関するリスクと機会の分析・目標設定・進捗モニタリングについては、代表取締役社長を委員長とするESG委員会にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について監督しています。
気候変動・自然資本・生物多様性に関する検討については、ESG委員会の分科会である「TCFD・TNFD分科会」にて実施しています。TCFD・TNFDの各提言に沿って、依存と影響やリスクと機会の分析、対応策の検討等を実施しています。同分科会は、サステナブル経営推進部の担当役員である取締役上席執行役員が委員長を務めています。2023年度、分科会は4回開催しました。検討結果については、ESG委員会で審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について監督しています。

検討・推進体制 取締役会 ESG委員会 TCFD・TNFD分科会

リスク管理 当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする、トータルリスクマネジメント委員会において、リスクの洗い出しやレベル評価、リスクへの対策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しています。気候変動等に関するリスクについても、同委員会にて、経営リスクとして適切に管理し、対応を推進しています。また、TCFD・TNFDの各提言に沿った検討については「TCFD・TNFD分科会」において実施し、その結果をESG委員会にて審議しています。両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しています。
以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っています。

TNFD提言に基づく情報開示

TNFDフレームワークとTNFDが提唱するLEAPアプローチ※1を参考とし、当社グループの自然資本への依存と影響、リスク・機会の分析等を実施しました。

  1. ※1自然関連のリスク・機会を評価するためのガイダンス。 Locate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存と影響の診断)、Assess(リスクと機会の評価)、Prepare(対応と開示の準備)の4つのステップが推奨されている

自然資本への依存と影響

当社グループでは、企業の事業活動に関する自然資本への依存と影響について、下図①のように捉えています。そのうえで、当社グループの主な事業である食品の製造と、当社グループの主要な原材料のうち、カカオ、パーム、木材(紙)について依存と影響を確認しました。外部ツールを利用し、依存16項目と影響9項目の計25項目を評価した結果が下図②です。食品の製造については、特に水の供給に依存しています。カカオやパーム、木材(紙)の生産においては、良質な土壌や水、気候の調整等の多くの自然資本に依存し、また、農地の拡大や森林破壊等によって生物多様性に影響を及ぼす可能性があることをあらためて理解しました。

図①

企業と自然資本の関係の図

図②

自然資本への依存と影響 評価の図

リスクと機会

以下は、分析したリスクと機会、その対応策の一例です。
今後も継続的に自然資本に対する状況把握を深め、自然資本・生物多様性の維持と保全に努めていきます。

森永製菓グループの重要度の高いリスク

大分類 小分類 リスク要因 事業への影響 重要度 対応策
物理的
リスク
慢性 生態系の基盤・調整サービスの変化 土壌や水質悪化、害虫や病気の発生増加による農作物の収穫量減少に伴う、原材料コスト増加や開発コスト増加
  • 調達方針、サプライヤーガイドラインに準じた地球環境に配慮した原材料調達の推進
  • 2030年カカオ豆、パーム油、紙の持続可能な原材料調達100%目標に向けた取り組み推進※3
  • サプライヤーとの連携、リスク対応に向けてのコミュニケーション強化
  • 原材料の複数社(または複数拠点)購買の実施
降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動 気象パターンの変化や異常気象の頻発化に伴う、農作物の品質劣化や収穫量減少による原材料コスト増加や開発コスト増加
移行
リスク
法律および規制 生態系維持に関する法律や規制の変更 環境に配慮した認証原材料等の
需要増加による、原材料コスト増加
自然関連報告義務の厳格化 報告に関する対応コスト増加
  • 継続的な情報収集
  • 自然関連リスクへの継続的な対応
市場 消費者行動の変化 消費者の環境意識の高まりによって、環境対応が遅れた商品の消費者離反や、小売企業による当該商品の採用減に伴う売上減少
  • 調達方針、サプライヤーガイドラインに準じた地球環境に配慮した原材料調達の推進

森永製菓グループの重要度の高い機会

大分類 機会要因 事業への影響 重要度 対応策
資源の効率 効率的な生産・流通プロセスの開発や利用 効率的な製造、流通プロセスの開発による製造コスト、輸送コスト減少
  • 生産体制再構築、スマートファクトリー化による効率的な生産活動の推進
  • 2030年フードロス70%削減目標に向けた取り組み推進※4
  • 効率的で環境負荷の少ない物流体制、輸配送の推進
製品および
サービス
消費者の好みの変化 Z世代を含む消費者の環境意識の向上による環境配慮型商品への需要増加
  • 2030年カカオ豆、パーム油、紙の持続可能な原材料調達100%目標に向けた取り組み推進※3
  • 環境配慮型商品の開発
レジリエンス
(回復力)
資源の代替・多様化 原材料の代替化、多様化検討による様々な条件下における操業能力の向上
  • 気候変動によるリスクを踏まえた原材料の代替化、多様化の検討
レジリエンス計画(BCP)策定によるサプライチェーンの信頼向上、機会損失低減
  • 自然災害BCPの継続的な見直しとBCMの推進
  • ※3グループ連結。紙は製品の包材が対象
  • ※4対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化など、食資源循環に戻すものを除き、焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義